スノードロップをあなたに

明壁黒星

第1話

「ーーーーーーーー」

何か音が聞こえる、人の声だろうか。いや金属のような音も聞こえる。

しかも近いぞ、僕はどんな場所で寝ているんだ。とりあえず起きよう。


「なっ。」

目を開けたら目の前迫りつつある刃物を反射的に弾き飛ばす。そしてその勢いのまま寝ていた場所から落ちてしまった。受け身を取らずに落ちたから体が痛い。

「ーーーーーーーーー」

起きたばかりかうまく聞き取れなかったが僕を切り裂こうとしていた黒ずくめ人たちがいきなり僕が起きたことに驚いたのか何か言いながら逃げていく。

ここは何処だ。状況を確認しよう、自分は白い服だけを着させられており寝かせられていた。そして今いる部屋は石造りの部屋に僕の寝かされていた真ん中には祭壇のようなものがあり、祭壇付近には僕を解剖するためなのかナイフなどが置かれている。

なんだ、どこかのカルト宗教にでも拉致されたのか。クソッわからない、とりあえずこの場から逃げなければ。

出口を探すと、さっきの人たちが出ていった場所しか出口は無いようだ。さっきの奴らが冷静になって帰ってくる前に逃げなければ。

石畳の廊下を歩き、なんとか建物の外に繋がる出口を見つける。そこからは冷気が侵入してきており肌が冷たくなってくる、外は吹雪が降っておりあまり遠くの方が見えない。

「止まれ!」

後ろから僕を暫定誘拐したと思われる黒ずくめの男たちの叫ぶ声が聞こえる。だがおとなしく止まるわけにはいかない、体が危険だとそう反応している。吹雪の中走るしかない、そう思い外へ走り出した。



何処かの施設だとは思っていたがここはまるで要塞のようだ、見張り台のようなものがあり人の脚力じゃ飛び越えられない高い石の壁もある。そして警備兵も多いようでもう何人にも追われている。

「もう逃げ場はないぞ、大人しくしろ。」

行き止まりに来てしまった。目の前に高い壁が見える、後ろから警備兵がジリジリと慎重に距離を詰めてきている。、絶体絶命だ。

もうあの壁を上るしかない。よく見れば石壁には指は入るぐらいの隙間がある、そこを使って上るしかない。

少しでも壁の上の方を掴もうと壁に向かって足を力を入れ全力で飛ぶ。

 ブワッ

思いっきり飛んで壁を這い上がろうとしたはずなのに、壁が前にない、僕の下にある。そして僕を襲うはずだった石を掴んむ感触は無く、代わりに浮遊感が僕を襲った。

やった、なんで壁を飛び越えたのかわからないがこのよくわからない施設から逃げられたぞ、あとは着地をして、、、あれ?

壁を飛び越えた先は平行な地面ではなく下り坂だった、しかもかなり急の。数メートルのジャンプをした僕が綺麗に着地できるわけなく急な下り坂を滑り落ちる。しかもところどころに木が生えており、木にぶつかり、体中を打ちながら転がり落ちる。

やばい、逃げ出したはいいがこのままでは死んでしまう。解剖されて死ぬよりましだがこんなとこで死になくない。

ドゴッ、、手を伸ばしたりして勢いを殺そうと抵抗していたが、ついに後頭部に木か岩にぶつかり僕はついに意識を手放した。



どうにか生きていたようだ、、、吹雪も晴れ太陽が顔を見せている。気を失う前と比べて幾らか暖かい。吹雪が晴れ視界を遮るものは無くなったので周りを見てみると、転がっている最中と同じように周りは森だった、違う点は後ろに上り坂があり、そこ以外は平面ということだ、後ろの坂には僕が転がってきたであろう跡があり、思ったよりも急で断崖絶壁のところもある。よく生きてたな僕。

まぁこんな急な場所で良かったかもしれない、これで奴らもすぐには追ってこれないだろう。はぁ、、、喉が渇いた、おなかも空いた。とりあえず川を探しながら、今の状況を考えよう。川なら水も飲めるしなんなら人も見つかるかもしれない。

そう思い僕は森の中を歩いていく。少し時間が経ったとはいえ断崖絶壁から落ちたのだ少しは体が痛くてもおかしくないのに特に問題は無い。はてこんなに体は丈夫だったのだろうか?

まぁいい、昨日のことを思い出してみよう。目が覚めたら黒ずくめの集団に解剖されかけていた、うん意味が分からない。とういかあそこは何だったのだ、なんで僕はよくわからない黒ずくめに解剖されかけていたんだ、誘拐でもされたのか。大体僕は平凡な人間で生まれも育ちも、、、あれ、、、、

僕は何処で生まれったっけ、俺は誰だっけ

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