第26話


みんなの息も少しずつ整ってきた頃、黒さんが話し出す。


黒さん

「はぁはぁふーふー、み、みんな!よくやった!はぁーふー、あ、あとはヘ、ヘリが来れば、はぁはぁ楽園が待ってるぞー!。」


ジロー

「ふぅ~ふぅーはぁーはぁー、お、お、お、俺!よ、はぁはぁよくや、やったよ!。はぁーはぁー よ、よく走りきった!。」


鮫頭

「ふーふぅー、ジロー!お、お前 ボ、ボクシングしてたはぁーはぁ わりには、ハァハァ体力無ぇーな!ハハ、ぶ、おぇー、ごふ、。」


ジロー

「はぁーはぁーう、うるせぇー!ハァハァ。」


鮫頭

「ハァハァうるせぇーとはなんだよ!本当のこと言っただけじゃねぇか?!ハァハァ。」


黒さん

「フーフー、おいおい!ここまで来てハァーハァーケンカすんな!お前ら!ハァハァそれより、ハァハァ喋るとく、苦しい!。」


鮫頭

「はぁーふー、わ、わかったよ。」


ジロー

「ハァーハァーゴ メン、わかった。」


「ハァーフーなぁーく、黒さん、ヘ、ヘリがぐ、ぐふ、来るまでハァーハァーあとどれ位なんだ?。」


黒さん

「フーフー、んーハァ、…アイツはハァハァもうじき来るよ!ちょっと ま、はぁはぁ待ってろ!。」



…アイツ…

俺はこの時、何か黒さんに違和感を感じた。

何なのかはハッキリ解らないが、酸素さんそりない頭でも、何かが変だと感じていた。


………はぁはぁ……はぁはぁ…


…はぁーはぁ……はぁはぁ…


………はぁ…はぁー………


………はぁ……………


そして、少し休んで息もかなり整ってきていた…

そかで俺は、思いきってその感じた違和感を直接黒さんに問いかけてみた。


「ふぅー、なぁー黒さん、何か隠してないか?。」


黒さん

「はぁ、ん、…何かって何だよ?!。」


この時黒さんが右手の親指のつめをカリカリと噛んだ。

その事で俺の違和感の正体が分かったのだ。

黒さんは何かを隠してる…と確信した。


「!、黒さん絶対何か隠してるよな…言ってくれねぇーか…俺を少しでも頼ってくれよ…頼りないかも知れないけどよ…なあ黒さん。」


黒さん

「…何もねぇーよ!…一体何なんだ…

心配いらねぇーよ。アイツが…ヘリが来るまで黙って待ってろ。んーとそれから、周辺しゅうへんも気を配れよ!。」


「…アイツ…アイツって誰だよ、なあー、黒さん…頼むよ! 何か隠してるだろ?分かるんだよ!そのくせ!!

あんたが親指の爪を噛む時って…大抵たいてい何か嘘ついてる時か、何か隠したい時だ。黒さん…言ってくれ。」


黒さん

「………ふーー、わかったよ…水宇羅…ちょっとこっち来い。あーちょっと待て。


おーいジロー、鮫頭、周辺の警戒頼けいかいたのむぞー!。」


ジロー、鮫頭

「わかった。了解りょうかい。」


黒さん

「水宇羅、こっちだ!来い!。」


俺は黒さんの言われるままに、後をついて行った。

そこは、ジローと鮫頭には見えてはいるが、

話し声は届かない、少し離れた場所であった。

そこで黒さんから説明を受けた。


黒さん

「水宇羅…お前が潜入なんだろう?!知ってるよ!。」


!!

俺は、面を喰らってしまって、頭は真っ白になってしまい、思考停止に陥ってしまった。

この突然の黒さんの言葉は、俺を蝋人形ろうにんぎょうのように固まらせたのである。

そんな俺を余所目よそめに、黒さんが話す。


黒さん

「ふん!お前が潜入なのは最初から知っていたよ。…バレてないとでも思ってたのか?!…ホントに…ったく。」


黒さんは沈着冷静な態度と、少し呆れたような口調だった。そして言葉はハッキリとしかし淡々たんたんと俺に対し話してくる。


俺はかなり動揺し、固まっていたが、必死に少しずつ気持ちを落ち着かせ、黒さんの言葉になんとか耳がかたむけた。


「あ、あ、な、にゃぁーく、く、黒さん…にゃな、な、なんでわかったゃんだ?。」


俺は完全にんでいた。

自分でも分かるくらいに…

だがそんなことより心は乱れ、錯乱状態さくらんじょうたいである。


黒さんから見た水宇羅は、目は見開き異常とも思える表情であった。


それでも黒さんは、


黒さん

「…んー、まぁいいか!聞いたんだよ。」


「だゃ、だゃ、誰に?誰にだゃよ!。」


黒さん

「…はー、誰に聞いたかって?!…

はぁー!あのな水宇羅、決まってるだろ、それは、」


と、黒さんが言いかけた時だった。




ジロー

「おーい黒さん!!何か、車が一台向こうに止まってたけど…

ん!誰かこっちに向かって歩いてくるー!。」


鮫頭

「二人だ!スーツの二人がこっち向かって来るぞ!どうする黒さん!…ヤバいのか?逃げなくていいのか?どうするんだ!。」


俺達が居るグランドの、一段上がった小路こみちに黒い車がまっているのが見えた。

そして此方に、スーツを着た二人の男が歩いて来るのが見えた。


黒さん

「みんな!冷静になれ!とにかく落ち着けよ!。

様子ようすを見よう。なにもするなよ!。」


ジロー

「おい!今度は、向こうからこっちに向かって、車がまた一台来るぞ。」


その黒い車が停まっている反対側に目をやると、車が走って来るのが見えた。


黒さん

「とにかく落ち着け!なにもするな!

様子を見る!いいな、動くな!。」


この時、俺達は半分パニクっていた。

そんな中でも、俺は二重のショックで全く何も反応できず、ただ立ちくすのみであった。


そして、黒さんだけが状況じょうきょう把握はあくしているとは、この時、誰も知る由もなかったのである。


そして…

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