第9話


灰薔薇は俺の座るのを待ち、自分も再び椅子にゆっくりと座った。そして俺の目をぐ見ながら静かにコーヒーをすすった。

すると、となりの席に座っていた屈強くっきょうそうな手下てしたなのか、ボディーガードなのか知らないが、二人の男が立ち上がり、灰薔薇の両側へ左右一人ずつ別れ、ポジションをとった。

そして、灰薔薇がゆっくりと話し出す。


灰薔薇

「水宇羅さん、お飲み物は何がよろしいですか?失礼とは思いましたが、私は先にコーヒーを頂いております笑。

よろしかったら、ご注文を。」


俺は、微笑みながら、


「はい。私もコーヒーをお願いします。」


灰薔薇

「わかりました。」


すると灰薔薇は、徐に立ち上がると、

辺りを見回して、係員を探し声をかける。


灰薔薇

「すいません!オーダーお願いします!。」


それを見て、俺は少しおどいた。

普通は手下なり、なんなりが注文するであろう事を、灰薔薇はごく自然と自身でやってのけたのだ。

両側に居る二人は、当然というようにただ突っ立っている。


そして、灰薔薇の声を聞いた女性の係員が、さまやってきた。


ホテルラウンジの女性の係員

「何かご用でしょうか?ご注文でしょうか?。」


灰薔薇

「こちらの方に、コーヒーをお願いします。」


店員

「かこしこまりました。コーヒーはどちらのコーヒーになさいますか?。」


店員は俺に、持ってきたメニューを開き、背筋をきちんと伸ばしたまま、注文を待っている。

そして、俺がメニューを見ていると灰薔薇が話しかけてきた。


灰薔薇

「水宇羅さん、どのコーヒーがよろしいですか?お好きなコーヒーをどうぞ。」


「では、エスプレッソを。」


俺が注文すると女性の係員は、


ホテルラウンジの女性の係員

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」


そう言うと、その姿勢しせい綺麗きれいな店員は、カウンターがある奥へと消えていった。


そして、灰薔薇との真剣ほんばんの掛け合いが始まった。

口火をきったのは俺だった。


「灰薔薇さん、では早速さっそくですが、例の件よろしいですか?

あ、その前に、そちらボディーガードさんですが、そちらの方々かたがたに、席を外してもらいたいんですが…よろしいですか?。」


そう俺が言うと、ボディーガードの一人が、

俺を睨みつけながら言う。


灰薔薇のボディーガードB

「おい、何で俺達が退場たいじょうなんだ!

オヤジ、いや、社長の側からははなれねぇよ!わかったか!コラ。」


この、ボディーガードBの乱暴な言い方に、すかさず灰薔薇が諌める。


灰薔薇

「おい、めないか!大きな声を出すな。静かにしろ。お前ら!いいから席を外したけ。」


すると、灰薔薇のボディーガード達は、

不服ふふくとばかりに、


灰薔薇のボディーガードA

「え!ちょっと待ってくださいよ!。」


灰薔薇のボディーガードB

「オヤジ、いや、社長!俺は、離れませんよ!。」


灰薔薇

「…はぁー…。いいから、席を外せ。ほら、いいから行け。…何してる!行け。」


灰薔薇のボディーガード達は、納得いかない様子だったが、渋々席を外した。


そして、早速掛け合いは始まった。


灰薔薇

「失礼しました。水宇羅さん、さぁ、お話伺うかがいましょうか?!。」


「はい。では早速ですが、今回の件、黒さんから話は通ってると思いますので、単刀直入たんとうちょくにゅうに言わせて頂きますが、まず、」

と、俺が話してる途中に、灰薔薇は割り込むように話を遮った。


灰薔薇

「ちょっと待ってください!黒さんからは、

ただ、水宇羅という男が訪ねて行くので、話を聞いて欲しいと、頼まれたんですがね…。」


俺は一瞬思考いっしゅんしこうが停止したが、

なるほど…黒さん、わたりは一切いっさいつけてないって訳だ。

俺に、この話…きっちりつけろって事だと、

俺はそう解釈かいしゃくしたのだ。


そして…まくは上がったのだ。

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