40.解散総選挙

 総理は責任を取る形で解散総選挙を臨時国会で宣言した。


 万歳三唱が起こるわけもなく、皆さん急いで地元に引き上げていった。


 与党がどこまで頑張れるかな?

 野党は残ってる人いるのかな?

 与党は各選挙区の候補者選びで大変だそうだ。

 野党はその母体が母体だけに今や虫の息になっている。

 唯一影響のなさそうな宗教団体が母体の政党も実は中共のバックがついてたという一大スキャンダルが巻き起こっていた。

 うん。情報をリークしたのは俺だけどね。


 マスコミはこぞって『令和の大獄』って書きたててた。

 まあ、大量逮捕者に、強制送還が相当数いるしね。

 誰も死刑になってないだけましだよね。

 もっとも、これから先まともな人生は無理だろうけどね。

 自国に帰っていじめられてください。


 俺は今なぜ日本を変えなきゃいけないのか。国を守らなきゃいけないのか。


 合衆国主導で無理やりはじめられた原子力政策、本来いわれなき中傷に対して当時の首相が謝ったことで調子に乗せちゃった馬鹿な国、密輸される麻薬や、密入国してくる人々。


 そういう情報を一気にネットに拡散していった。

 どれだけ日本が危険にさらされているかをわかってもらうために。


 動画やブログにかかわらずすべて主だった国の言葉で書かれたサイトも掲載していった。

 そして、過去に半日活動をしていた活動家や芸能人、TV局や新聞社といったマスコミもそのターゲットとして反反日のキャンペーンを張った。


 これらは誹謗中傷や単なるうわさだとごまかされることがないようにすべて当時の新聞の記事や写真、映像も交えて検証していった。


 これが日本の若い世代を中心にして爆発的に広がった。

 老人世代は今まで通り政府が悪いというだけで変えようとも変わろうともしないでいた。

 しかし若い世代は自分たちで強い日本を作ろうと団結しだした。

 与党への入党もかなりの数に上った。

 そういう若い世代から候補者に仕立てていった。


 俺の方はこっそりリラックス・ポットに少し細工した。

 決して思想統合するためではなく、事実を事実として受け止めたうえで、何が必要かを考えるように促しただけだ。


 これが効果を上げていった。


 おじいちゃんおばあちゃんの中にも声を上げて国を守るためにどうしたらいいかを議論しだした人達も増えてきた。

 今や日本においてリラックスジムの利用はその人口の30%までに上っている。

 明らかにリラックスジムに通っている人の方が仕事ができて生き生き生活しているからだ。

 そしてそういう人たちは周りに対して影響力も大きくなる。


 二か月後。

 圧倒的支持を受けて与党が圧勝した。


 ちょっとやりすぎたかな。


 まあ、逆に言うと野党って日本の国を憂いてやってた連中がほとんどいなかったんだね。ほとんどが他国のスパイだったんだもの。


 98%の獲得議席はさすがにやりすぎたかな。


 しかしこれで憲法改正、国軍創設、日米安全保障条約の改正ができるようになった。

 それからまた3か月たったころ、これらの法案はすべて可決され、日本は真の意味で独立を果たした。

 総選挙後、首相に選ばれた茨木さんは、官房長官に保っちゃんを指名して、二人三脚で国難に立ち向かっている。結構いいコンビだよ。


 さて、俺はそれからの半年、国防兵器のための会議を連日自衛隊基地にて行っていた。

 途中から警視庁、公安、海上保安庁、入国管理などの部署とも連携し、様々な意見交換を行った。

 有識者会議は国立大学を省いて私立大学の工学部のみから厳選した。


 どいつもこいつも国立大学の教授は権威主義で、えらそうなやつばっかり。

 なおかつ頭が固く、過去の栄光だけで教授の椅子にしがみついてるやつばかりだったために、俺がそれを嫌った。


 民間から自動車メーカー、特に恩田の技術者は優秀なものが多かった。ここの国産ジェット機の開発陣をそのまま宇宙戦闘艦開発チームとして抜擢した。


 あまり使われなくなった飛行場施設を丸々買い取って、極秘研究の研究施設を作った。

 もちろん、地下にだ。


 この期に及んで出し惜しみはしなくなった。


 総理とけんかしたときに俺の中で何かが吹っ切れちゃった。

 ああ、こいつらに期待して任せててもだめだ、と。

 俺が持つ力をフルに生かしてまずは強い日本を作り上げることに全力を注いだ。

 技術陣もメディカル・ポットの方を使わせて能力向上を図り、又、理解を深めさせた。

 あくまで睡眠学習の体を取って。

 気づいているやつは気づいているんだろうな。みんな頭いいんだもんな。


 戦闘母艦一型、戦闘機二型、偵察機三型として順次開発していった。

 また搭載武器の方も電磁砲(レールガン)をはじめとして、各種追跡ミサイルなどを開発。

 防空の要となるレーダーも新しい理論で開発した。これで現状地球上にあるステルス機能は丸裸になった。

 また、それでも探知できないような無反射塗料や無音に近いモーターなどを開発し、回転翼機やドローンなどを開発した。

 船舶などはこれらの重力制御装置搭載の戦闘艦などに役目を譲る一方で、搭載兵器と駆動部分を一新し、現状戦力の見かけのまま、その機動性と戦闘力を格段に上げた。


 日米安全保障条約の改定とほぼ同時に北の国から日本に向けてミサイルが発射された。


 着弾予想地点は東京の皇居だった。


 すぐさま政府として対応を発表。


 5分後には高高度にあるミサイルを迎撃した。


 そのころにはすでに海上のみならず、地上の各自衛隊基地には高高度高空砲としてレールガンが配備されていた。


 すでに日本は法改正も済ませ、今回のミサイル発射は宣戦布告もおこなわずに戦闘を仕掛けられた状態であったと国際世論にも訴えた。。


 そのうえで、報復攻撃を行うことになった。


 それを行ったのは新たに創設された日本宇宙軍である。

 大気圏外からレールガンの精密射撃により、北の国のミサイル発射設備をピンポイントで攻撃、これを爆破した。

 それを受けてスクランブル発信しようとした戦闘機も離陸前にすべて落とされることになった。


 冷静さを欠いた北の国の将軍様はすぐさま海上艦艇をもって日本への特攻を指示したが、さすがにこれ以上の負けを重ねるわけにわいかず、将軍は暗殺された。


 そして総書記として臨時政府についた郭将軍から日本に降伏宣言が出された。

 日本はこれを受けて、北の国を占領。降伏したにもかかわらず戦闘を仕掛けてきた残党を壊滅し、首都を占拠した。


 これを受けて中共が黙っているはずもなく、日本に対して宣戦布告をしてきた。

 長い年月事実を知らされず、反日教育に力を入れていた半島国家もこれに乗っかって宣戦布告。


 それを受けて日本政府は中共本土のミサイル基地へ爆撃を開始した。

 半島国家はその航空戦力を使おうと離陸したが、整備不良の機体が多く、そのほとんどが離陸した基地に舞い戻っていた。


 中共国家は反撃のため、原子力潜水艦にて日本国土への無差別攻撃に入った。

 しかし、これもすでにその位置まで探知されており、発射と同時に海上と大気圏外から総攻撃を食らって沈没。


 中共党政権を解体するために空から首都を制圧し、陸軍基地を破壊。


 中共党はすでに残存兵器が尽きていた。


 宣戦布告と同時に潜入していたアンドロイドたちと共同で党幹部たちを拘束、戦争責任を取らせてその場で銃殺とした。裁判にかける価値もない。戦場で遺体で発見ってやつだ。


 これにより長く一党独裁政治であった中共は解体された。


 元々数に任せたごり押しで納めていた地域がほとんどであり、各地で暴動が頻発。地方行政府も占拠され、多くの独立国の宣言が相次いだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る