22.好評のようで安心しました
俺は早瀬や蔵元会長たちに囲まれて立食パーティーに参加した。
蔵元会長たちは、俺のプレゼンが終わってすぐにフィットネス・ポットを体験したようだ。かなり肌もつやつやして若返ったように見える。
これって実際に若返っているんだろうな…。
「柏木君!君に起業を勧めてよかったよ。これほどの展望を持っているとは。ぜひ我が社にも協力させてくれ。」
するとそこへ田中工業の田中社長も割り込んできた。
「柏木さん!私は感動した。自分たちの手で未来を拓く。それをお手伝いできるとは、感無量です。」
田中社長は涙を流さんばかりに俺の手を握り、しきりに上下に振っていた。
「ありがとうございます。田中社長のところのスタッフは20名ほどでしたよね。現在抱えている業務が終わり次第、こちらから技術講師のスタッフを送り込みますので、切磋琢磨しながら技術を学んでください。ある天才科学者が発想してブレイクスルーした技術理論を実際に完成させれるかどうかは田中工業さんにかかっているといっても過言ではありません。どうか頑張ってください。」
俺はそのあとも様々な下請け会社と話をし、後日詳細を打ち合わせることで了承してもらった。
中には地方の製菓会社や印刷所、グッズ販売のメーカーまでがそろっている。
これらのコネをフル活用して新しいブランドを気付くのが第一段階になるだろう。
俺は早々に宴会場からとってもらっていた控室であるスィートルームに移動して、早瀬たちと話をし、現在の仕事状況を確認した。
概ね順調のようだったが、中にはあの課長一派が担当していた客先で、かなりの不信感を持たれ、取引停止に至るところも多かったようだ。
まあ、仕方ないよな。
どれだけ赤字が出てもいいので、すべて解決するように指示を出した。
今後取引を再開することはないだろうが、新会社に悪影響を及ばさないとも限らないので、精いっぱいの誠意をもって接してほしいことを伝えた。
今までの業務を一年かけて収束していき、新たな販路と新商品の開発に向けて頑張るしかない。
その間会社を持たせるための資金もすでにできている。
今後私財をかけて追加投資も可能だ。
先に挙げた商品開発の一つでも成功すれば十分にペイできるだろう。
なんせすでに完成品はあるのだ。
ただ、それが地球産のものではないだけで。
現在公表されている特許や研究論文をどう組み込めばそれぞれの商品ができるかはすでに理論づけが終わっている。
それらを技術者に理解させて、実際の商品を作成するのはこれからだ。
今後は他国や他社の産業スパイも警戒する必要がある。
フィットネス・ポットにより社外秘の徹底を暗示により刷り込むことにした。
これで無意識化でも社外に技術情報の漏洩はなくなるだろう。
物理的や通信的なセキュリティはそれこそ地球号の十八番だろう。
情報戦ならこっちのものだ。
後、残務処理は現在のアーバン商事で行うが、切りがいいところで各自新社屋へ引っ越してもらうように頼んだ。
いつまでもいやな気持で働きたくないだろう。
心機一転きれいな過ごしやすいオフィスで頑張ってもらいたい。
事情が事情なので、法的な会社成立を待たずに業務は動いている。
まあ、税理面が問題になるだけなので、そのあたりは税理士を間に立てて、総務部長に一任した。
委託金の100億円は当座口座として確保しているので、そこからの支出をお願いした。
また、プライベートでそれぞれの口座を作り、活動費名目で1億円ずつ振り込んでおいた。愛ちゃんが手配してくれていたものだ。仕事に使う活動費はここから出すように指示した。いわばこの1億円はスカウト料だ。それぞれ仕事に使った場合は清算のために領収書など会社の決済が必要だが、払い戻されたお金は好きに使っていい。
出来ればセキュリティのしっかりしたマンションに引っ越してもらいたいと話をしていたら、3人ともがメディカル・ポットで寝たいということだったので、地球号の部屋はそのまま彼らに貸したままにしておくことになった。
新社屋の最上階はそれぞれの執務室を作ってあるので、そこに転送してもらえば出勤も楽になる。住所登記なども新社屋の最上階で登記を変更しておくように伝えた。
俺は都内に一軒家を購入した。
外観はそのままで、中身は愛ちゃんがフルリフォーム済みだ。
かなりの豪邸だが、愛ちゃんが帝国の大使館としての機能も兼ねるというので、そのような大きな家になった。
大使になるつもりはないんだけどな…。
大体国交樹立って言っても向こうは地球に来られても、こちらから向こうに行く技術がないんだから、無理だよね。
すでに要塞化も終わっているらしく、俺はまだ行ってないけどすでにアンドロイドたちが必要な情報の集積拠点として機能させているようだ。
アーバン商事の前社長は示談に応じなかったため、昨日付で提訴している。
賠償請求額は200億に上っているそうだ。
実際にそれだけのお金を社長が着服したわけじゃないようだが、社長経由でお金がインターステートの元社長や役員に流れたこともわかっているので、まず社長を提訴し、その上でインターステートの面々を提訴していくようだ。
この件に関してはもう俺たちがかかわる必要がない。
アーバン商事代表としてアンドロイドを立てて、弁護士とともに裁判を行っていくことになる。
アンドロイドたちが優秀でびっくりする。
日本のあらゆる法律法令、裁判記録を1日たたずに暗記している。
そもそも機械の頭脳があるのだから、容量もけた違いなのだろう。
さて、地球号に戻ろうかとしたところ愛ちゃんからストップがかかった。
「一度購入した家に行ってみていただけませんか?」
という投げかけだった。
興味もあったので4人で向かうことにした。
俺たちがホテルのロビーに降りると、迎えの車が玄関についたと知らせてくれた。
玄関の車止めに行ってみるとそこには黒塗りのマイクロバスが止まっていた。
「え?この車?」
と、愛ちゃんに問いかけると
「はい、そうですマスター。」
と答えた。
普通の乗用車じゃないんだ。
まあ、愛ちゃんも入れて5人も乗るから大きい方がいいのはいいけどね。
そう思って乗り込んでみると、びっくりした。
外側はマイクロバスでも中身はまるで別物だった。
ソファが置かれ、リカーバーも完備している。
一人常駐者がいるようで、モニターを常にチェックしている。
これは動く指揮車ってところかな。
愛ちゃん曰く、かなりの部分で帝国の技術を使って魔改造されているようで、非常時には重力制御装置を使って空中へ逃げることも可能だそうだ。
ほかにもステルス機能を持っていたり、迎撃システムも組み込んであるそうだ。
確かに、新会社ではやばい装置の開発も視野に入れてるからな。
今後俺たちが4人で動く必要があるときにはこの車で移動するようだ。
それぞれの移動の際はそれぞれの好みに合わせた車を用意してくれるようだ。
俺はどんな車にしようかな。
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