第6話
幼なじみって、ありがたい
みなみの幼稚園のバザーのお手伝いで、久しぶりに自転車で町内を走っていた。
幼なじみの会社の前で信号を渡った時、友三が私に気付いた。
朝海!元気!久しぶりって言われた瞬間、私は泣き崩れた。
この5年間、子供達の成長を楽しみに、周りには蒼太のDVのことも言えずに暮らしてきた。
友三とは、ずっと仲が良くて、お互いの結婚式に出席したし、(同じ年の私が6月で友三が7月)航が6月生まれで葉月ちゃんが8月に生まれたから、同級生だし、友三の横浜の家にも、行ったり、家族ぐるみで仲が良かった。
私が蒼太に嫌がらせをされてる事、サッちゃんに死ねばいい、と言われている事を伝えた、勿論、元気ではない。
本当は離婚した方が、毎晩、私が怒鳴られている声に怯えている航や七海やみなみの為になる、父親が居なくても、幸せな家庭はあるんじゃないか、でも働かなきゃって思ってる、と言ったら...
今年から、横浜支社の支社長じゃなくて、此処で社長をやってるんだ、って笑顔で説明してくれた。
社長室で、ゆっくり話を聞くよ、と優しい。
引っ越して来て、みなみが生まれて、蒼太にDVされて、サッちゃんが現れて...。
考えてみたら、優しくされたの本当に久しぶり。
実家は近いけど、私が帰りたいと言っても、あのマンションは実家からの援助もあって買ったんだし、地元なんだから、蒼太に出て行ってもらうべきだ、と言われる。
蒼太は、マンションでの500円生活が嫌なら、実家で暮らせばいいじゃないか、と言う。
今、板挟みで精神的に疲れていると言った。
友三は、一人息子だ、長男なのに友三なんて、親父には、何処かに長男、次男がいるんだよ!なんて、いつも冗談を言ってたけど、私は御社の三代目だからでしょ、と笑っていた。
そして、偉いね家業を継いでいて、と思った。
実家も会社を経営してるけど、私は主婦になってしまい、家業を継いでいない。
ウチは、姉も妹も継ぐ気がないから、従兄弟が社長になると思う。パパごめんね。
なんて考えていたら、朝海、ウチの会社て働いてくれないかな?
「社長になった、ご褒美だ。」
と言ってくれた。
雇ってやる、とか言わないところが友三。
友三の優しさと、離婚出来るかも、という期待で、もう少し頑張ってみよう、と思った。
思えば、泥棒、火事、水漏れ、DV、こんな不運が続くことってあり得ない。
神様、ありがとうございます!
幼なじみって、ありがたい。涙涙涙。
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