第4話
みなみの誕生
5月になり臨月前の最後の検診で病院に行った。もう女の子だって分かっている。
航は男の子だからスポーツ出来たらいいなぁって思って憧れの航先輩と同じ名前にしたらサッカー少年になった。
七海は女の子だからピアノニストかバレリーナになってくれないかなぁって思って、今、元タカラジェンヌのお教室に通っている。
末っ子のこの子は笑顔が可愛い!ベッピンさんになってくれないかなぁ、って思っている。
いつも、お医者さんから、赤ちゃんが大きくならないね、と言われていたけど、計測に誤差があって、実はちゃんと育っているんじゃない?って思っていた。
ところが今日は、赤ちゃんが危ないから、このまま入院して下さい、と言われた。
夕方、陣痛とは違う痛みが出て、分娩室へ。
産まれたの?オギャー!という声が聞こえない、看護婦さんに、おめでとうございます、とか女の子です、とかも言われない、沈黙の20分、医師達はバタバタしていた。
オギャーという声が聞こえて、女の子です。
と同時に医師からは、死産で状態が悪く吸入したり、とにかく直ぐに蘇生が出来ず、脳死が20分あったから、今、危ない状態で2時間生きられるかどうか、と言われた。
私は妊娠中のDVによるストレスで、胎盤から赤ちゃんへ、栄養も酸素も送られない状態が続いていたんだそう。
だから赤ちゃんは、大きくなれなかったし、お腹の中で息絶えてしまったのだ。
私の子だから大丈夫、と心の中でずっと念じていた。
その時、蒼太が「赤ちゃんが元気で、朝海があと2時間で死ねば良かったのに」、と言ったのだ。
信じられない、私は蒼太に、妊娠中にストレスを与えて悪かったって反省して欲しかったのに、母子共に危なかった訳で。せめて赤ちゃんには謝って欲しい。
なのに、こんな時に私が死んでたら、って思っている。
もう家族として生活は出来ない、と思った。
みなみは、2時間生きた。
まだ、みなみに会えていない。
今度、医師は48時間が山場と言う。祈った。
どうぞ生きて!
みなみは2098グラムで生まれた、どうにか48時間生きて、その後は順調で、産湯も1週間経ってから入れてもらった。
生かす事が最優先という医師の熱意が感じられる。
みなみは1カ月集中治療室で、お世話になってる。
私はまだ抱っこもしていない。頑張れ!
体重が2500グラムになったので退院。
脳も、心臓も目も耳も異常無し、だけど3才までは精密検査を続けますよ、と言われた。
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