第2話
さらば社宅
災いは忘れた頃にやって来る、というけれど、社宅生活を始めて5年の間に3回も災いに遭遇した。
1回目の災いは、長崎の社宅で泥棒にぶつかった事。
その日は、夕方に洗濯物をベランダから取り込み、少し湿ってるトレーナーは、後でにしよう
夕食の支度をし、遊び疲れた航が寝てる隣りでパパが帰って来るまでちょっとだけ仮眠することにした。
そろそろパパが帰って来るよね、トレーナー乾いたかな?
とリビングの蛍光灯が点く前に人影を感じた...
気のせい?とベランダに向かった時、誰かにぶつかった...
犯人も、空き巣に入ったつもりで、住人が居るとは思って無かったらしい...
ベランダから逃げて行った。
怖い、顔見られたかな?暗かったけど、家に居る時、しかも、また洗濯物を取り込もうとしてる時、鍵をかけたりしないよね、
でも寝室で寝ていて、リビングに電気が点いて無かったら、留守だと思うかな...
怖い、動けない、航が無事で良かった、警察を呼ばなきゃ
警察が来た、お財布の現金を盗られた
パパが帰って来た、社宅だから上司に報告。
パパは空き巣に入られたと説明。
私が居たんだから空き巣じゃない。
ベランダの鍵もかけず、無用心だと思われてしまう。
奥様方には、ご心配をおかけしました、と菓子折りを持って全員に謝罪。
これが社宅。被害者なのにかたみが狭い。
2回目の災いは、横浜の社宅で2階が火事がなった事。
我が家は5階だけど火災報知器が、けたたましく鳴って、503号室の奥さんが火事!と叫んでる。
5階から航と七海を抱っこして着の身着のまま階段からおりた。
火事場の馬鹿力だ、怖い。
後から、2階での火事で、その部屋しか燃えず
我が家は特に被害は無かったが、あの時はどこが燃えているか分からず、本当に怖かった。
原因は天ぷら後に、固めてテンプルをする為、火を点けてて忘れてたらしい。
なのに、その家族は新築の社宅に引っ越して行った。
3回目の災いは、横浜の社宅で水漏れにあった事。
その日は、パパの実家に一足先に帰省していて佐賀にいたが、会社から電話があった、お宅から水漏れで大変な事になってると言われたらしい、まっ青になった。
パパとの電話で、お風呂とか洗濯機とか水出しっ放しにしてない?とか聞いた。
私は佐賀なんだから、すぐには行けない。
子供達は残して横浜に帰る。
家は水が10センチくらい溜まってる。
ウチの蛇口は全て閉まっていた。
パパのせいだと思っていたので、ひと安心。
なんでウチだとか言うの。
5階の奥様達に菓子折りを持って、ご迷惑をおかけして申し訳ありません、と謝罪。これが社宅。
結局、ウチの上の部屋がリフォームしていて、業者の不手際だった。
凄い迷惑、イライラした。
濡れた家財に賠償金も出ない。
パパが会社にウチは大丈夫だと報告したらしい。
それから数日は掃除と家財の処分でヘトヘト。
数週間後、今度は私の実家に帰った。
たまたま、新聞のチラシのマンションを見た。
そろそろマイホームが欲しい。
だって災いが3回も、普通ありえない。
でも田園調布は高くて無理だし、私は1階でお庭がある角部屋で、お風呂とトイレに窓があるのがいい、とか欲を出す。
無いよねって思ってたら、あった!
しかも、借地権だから、買える値段。
蒼太にも見せた。実家から歩いて5分のマンション。
まぁスープの冷めない距離である。
パパは転勤族で、これから単身赴任になる事もあるし、私が住みたい所が良いと思うと言って賛成してくれた。嬉しい。
これで、社宅生活も終わり。
でも今は、航の幼稚園はバス送迎で給食だけど、これからは、自転車で送迎、雨の日は歩き、そして、お弁当も作らなきゃ。
大変だけど、七海も大きくなるし、頑張ろう!
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