第27話 ポカポカ
呑んだくれた次の日、久寿が提案してくれた『氷菓子』という店に行くことになった。
お菓子屋さんをセレクトするなんて、可愛い所あるのね。
しかも冷たいお菓子は私の大好物♡
タカヒロが住所をナビに打ち込むと、そこはあの2人の家の近くだった。
どうせだったらこの後2人の家に行ってもいいかもなー。
あの2人に『氷菓子』で何かお土産買っていこうとふわふわ考えていると、目的地に到着する。
タカ「結構、山奥なんだね。」
久寿「マイナスイオンびんびんだな。」
ユキ「川が流れてるよ!」
お店の周りの景色に懐かしさに感動しながらお店に入ると、中は薄い水色を基調とした淡い色の壁で、物が白で統一されていて一瞬空の上にいるかと思った。
「いらっしゃいませー。」
と、奥の厨房から出てきた店員さんと目が合う。
ユキ「咲さん!?」
咲「ユキ!」
私に生きる活力をくれたエプロン姿の咲さんが私に飛びつく。
タカ「あれ?知り合い?」
ユキ「うん。命の恩人。」
咲「よかった…。元気そうで。」
ずっと涙目な咲さんが今日は特別と言って、外にあったテーブルと椅子を中に入れ、ここに座ってと促してくれた。
3人でお菓子を選び、用意してくれた席に座って咲さんがお菓子をお皿に乗せているのを眺めていると、背後の窓ガラスになにかが勢いよく当たる音が聞こえて心臓が飛び出そうになる。
タカ「わっ!?」
ユキ「!?」
久寿「?」
その窓ガラスを見ると、私を雪女にした子どものアコが目を見開いて私を見ていた。
アコ「ユキちゃぁぁぁぁぁあん!」
アコが1人外で泣き出してしまう。
私はすぐに席を立ってアコを迎えに行く。
ユキ「心配かけてごめんね。」
アコ「いっぱい友達出来たんだねぇ…!」
涙しながらそんなことを言うアコ。
ユキ「うん。2人のおかげだよ。」
アコ「よかったぁ!」
アコが嬉しそうに笑う。
2人ともたくさん心配かけてごめんなさい。
これからはちゃんとするから。
ちゃんと2人の思いに応えられるようにするから。
アコと一緒に中に入ると、咲さんもそれを見て嬉しそうに微笑んでくれていた。
咲「アコ、お帰り。みんなでおやつ食べるから、手洗いしてきて。」
アコ「はーい!」
アコは厨房に入っていって手を洗いに行く。
タカ「アコちゃん元気ですね!」
咲「元気しかない子よ。」
タカ「元気があるのが一番ですよ!」
咲さんはその言葉にまた微笑んだ。
タカヒロと久寿は水飴とシャーベット、私、咲さん、アコはフルーツの棒アイスを食べる。
「「いただきまーす。」」
咲「どうかな?」
ユキ「美味しい!もっと食べたい!」
咲「たくさん、食べっててね。」
冷たいアイスを食べてるはずなのに、体の奥がポカポカしてくる。
ああ、本当に2人と出会えてよかったな。
ありがとう、今すごい幸せだよ。
この幸せがずっと続けばいいのにな。
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