異世界転生した二人の内、一人はチート能力を貰えたがもう一人は能力が無かった。だがこの二人には大きな〝 違い〟があった。
異世界転生した二人の内、一人はチート能力を貰えたがもう一人は能力が無かった。だがこの二人には大きな〝 違い〟があった。
異世界転生した二人の内、一人はチート能力を貰えたがもう一人は能力が無かった。だがこの二人には大きな〝 違い〟があった。
八四さん
異世界転生した二人の内、一人はチート能力を貰えたがもう一人は能力が無かった。だがこの二人には大きな〝 違い〟があった。
二人の高校生の青年がいた。一人は性格があまり良くない達海たつみ、もう一人は優しい裕太ゆうたという青年だった。だが裕太と達海、どちらも事故で亡くなってしまった。そして気づくと二人は神の間にいた。
「お前たちに能力を与えよう、一人は最強の能力。もう一人には何も与えられん」
すると達海は
「俺に最強の能力をくれ」
そう言った。だが裕太は
「達海くんに能力をやって欲しい」
と言い能力を貰おうとはしなかった。
***
二人は同じ場所に異世界転生した。その世界は西洋の世界で、二人の家庭には将来魔法騎士として入隊することが義務付けられている。魔法騎士の敷居は高く、入れば貴族階級の扱いを受けることが出来た。双子として転生した彼らは達海は才能があり持て囃されたが裕太には何も才能が無かった。ただ誰に対しても優しさだけを忘れることは無かった。
「ユータ、てめぇじゃ魔法騎士は無理かもな。何たって無能力の雑魚だもんな。お前は底辺の村でよろしくやってるんだな」
「そうだね、タツミは強いし良い能力を持っている。それをみんなのために使ってやって欲しい」
そんな風に二人の間には気付かぬうちにヒエラルキーの差が生まれていた。最初は誰もがタツミをチヤホヤし、小さい頃から友達もタツミの方が多かったのだ。
そしてある夜、二人にはある試練が課されることになる。野生にいる肉食獣を五体制限時間内に倒してくる。それが国から命じられた入隊条件だった。
「んなこと余裕だぜ、なんたって今の俺にはどんな魔法も百パーセント使いこなせるんだからよ」
「頑張ろう、タツミ」
そしてその試験が始まった。当然森の中は夜で薄暗い。だがタツミは止まることを知らなかった。
「へへ、余裕余裕!」
─────それは突然起きた。
超ド級の魔物が急に現れたのだ。そしてそれに追われている少女がいた。
「嘘だろおい・・・」
タツミはそれを見て足が竦む。確かに彼に才能はあった。でもどんなものが相手でも自分より大きなものに相対した時、誰でも怖いものなのだ。
「タツミ! 逃げて、僕がおとりになるから」
「ユウタ・・・てめぇなんかじゃ死ぬだけだ・・・」
「そっか・・・じゃあ食べられている間に女の子を連れて逃げて欲しい。任せたよ」
そのままユウタは魔獣に向かっていった。誰もが分かっていた。彼が死ぬということを。それを見ても誰もが動くことが出来ない。だが彼は違った。
「────それが試験だ」
そう言うと一人の騎士が魔獣を切り裂いた。物凄い勢いの一撃を放つ。
「黙っていてすまない、これが試験の内容だ。あの少女も仕掛け人だ」
これは力ではなく心を試す試験だったのだ。
「は!? 何言ってやがる。才能は俺の方が上だろうが! なんでそんなボンクラが合格すんだよ」
「ボンクラと言うなら魔獣に立ち尽くして何も出来ない君のことじゃないのか」
タツミはそれに返す言葉も無かった。騎士は一言ユウタに問う。
「君に魔法騎士になる覚悟はあるかい」
「皆を守ること力が僕にあるならそうしたいです。でも僕には魔法は使えない」
「戦おうとする意志、その物が大事なんだ。君は皆を守る〝力 〟を持たないが〝 心〟を持っている。それがきっと今後みんなの力になるさ」
そうして魔法騎士としての歩みをユウタは進む。
「・・・計画通りだ」
───最初からこれは全ては計画通りだったのだ。ユウタはこうなることを予期していた。タツミが魔法の能力で威張り散らしている中、ユウタは今までの試験の全てを頭に叩き込んでいた。彼は人の良さを活かして様々な情報ルートから試験内容を頭に入れていた。だからこれがでっち上げだということも知っていた。
能力の無い人間が脅威に立ち向かう姿は感動的に見えるもんだからな。最初っからわかってたんだよ。結局どこの世界も同じさ。僕は自分の得になるから優しい僕を演じているに過ぎない。誰もがそうだ。結局優しさの正体とは〝利己 〟でしかない。そういう意味ではタツミの方が優しいと言えるんじゃないかな、まぁもう僕には関係ないけど。
そう思いながらユウタはタツミを最後に嘲笑い、タツミはその顔を見て全てに気づいたがもう既に時は遅かった。
異世界転生した二人の内、一人はチート能力を貰えたがもう一人は能力が無かった。だがこの二人には大きな〝 違い〟があった。 八四さん @hatiyon
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