450話 絶対におっぱいなんかに負けたりしない!
”雪月花”の3人に、岩陰に連行されているところだ。
俺は万が一の警戒のために毅然と対応しようとしたが、彼女たちの思わぬ色仕掛けにより抵抗の意思を削がれてしまった。
「さあ、こっちですよ!」
「もうちょっと奥に行こう~」
「……ん」
ツキ、ハナ、ユキがそう言う。
俺たちはそのまま岩陰にまでやって来た。
ここだと、砂辺でゆっくりしている者や浅瀬で泳いでいる者の視界には入らない。
「な、何をする気だ!」
「えへへ。それはもちろん、いいことですよ!」
ポロン。
突然、ツキが胸の水着をはだけた。
彼女の豊かな胸があらわになる。
「ハナちゃんのも見て見て~」
ポロリン。
ハナが豊満な胸を見せつけてくる。
「……ん。タカシさんには、ロリコンの疑惑がある。意外にボクみたいなほうが好きかも……?」
ユキが慎ましくも可愛らしい胸を披露する。
確かに、俺はロリコンだ。
しかし、そんな素振りを見せたつもりはなかったのだが。
……いや。
第一夫人のミティはドワーフという種族の特性上、年齢の割に幼い外見をしている。
さらに、第四夫人として婚約しているニムは、まだ12歳。
11歳のマリアや外見年齢が10歳程度のティーナとも行動をともにしている。
見る人が見れば、俺のロリコンはすぐにわかるということか。
だがーー。
「ふん。俺には、愛する妻と仲間がいる。色仕掛けなど通用しないぞ」
キリッ!
俺は毅然とそう言う。
絶対におっぱいなんかに負けたりしない!
「えへへ。ガマンは体に毒ですよ? うりうりー」
ツキが胸を押し当ててくる。
ここに連れてこられるときも当てられていたが、あれは水着越しだった。
今回は生乳である。
先端の突起の感触が……。
このままではマズいぞ!
「下のお口は正直みたいだけど~」
ハナが俺の下半身を見てそう言う。
俺は当然、水着を着ている。
しかし、水着越しでも俺のマグナムがビッグマグナムになっていることは丸わかりだ。
「……大きさは標準サイズ? でも、力強いかも……」
ユキがそうつぶやく。
以前、マリアにも俺のあれを見られたことがあるが、”かわいい”という評価を下されてしまった。
それに比べれば、標準サイズという評価でも十分ではある。
いや、こんなことを考えている場合ではない。
「ぐぬ……。俺の鋼の意思をなめるな! ぬおおおぉっ!」
俺は力強くそう叫び、雪月花の絡みを振りほどく。
彼女たちは尻もちをつくが、すぐに体勢を立て直す。
「強情なんですね! ツキ! あれをやるわよ!」
「任せて~。ほ~ら。ぱふぱふ~」
ツキが俺の背後にすばやく回る。
俺の頭を柔らかい感触が包む。
「こ、これは……!」
これがあの伝説のぱふぱふか。
ダメだ。
この快楽には抗えない。
「無念……」
俺は抵抗の気力をなくし、その場に力なく座り込む。
おっぱいには勝てなかったよ……。
戦闘不能となった俺に、雪月花がさらに畳み掛けようとしている。
俺が覚悟を決めた、その瞬間。
「そこまでだよ!」
女性の力強い声が響いた。
この声は……。
「なっ!? あなたは、第三夫人のモニカ=ハイブリッジ! どうしてここが……」
ツキが驚いた声色でそう叫ぶ。
参戦者は、モニカだ。
俺のピンチにさっそうと駆けつけてくれたヒーローである。
もうだいじょうぶだ。
なぜって?
モニカが来た!
「私の超聴覚をなめないでよ。不穏な会話があれば、わかるよ」
「くそ、いいところで……」
ツキが悔しそうにしている。
俺にとっても、ある意味ではいいところだったのだが。
中断されて、よかったような悪かったような……。
いや、騎士爵を授かった俺が安易に女性に手を出したら、跡取りとかでいろいろと問題が発生するかもしれない。
男としては残念だが、貴族として、そして愛する妻たちの夫としては中断されて良かった。
さらに、モニカ以外にも駆けつけた者が2人いる。
まずはーー。
「抵抗しないでくださいね。下手に動くと握りつぶしますよ」
「……うう……。何という馬鹿力……」
ミティだ。
彼女の豪腕により、ユキの手が押さえられている。
一度捕らえられると、脱出は容易ではない。
これでユキは行動不能。
ツキは、モニカににらまれて下手に動けない。
「んふふ~。でもでも~? ハナちゃんがいれば、こんな状況はすぐに~?」
ハナが何かをしようとしている。
しかし、彼女が動き出す前に。
「何もするなハナ!」
1人の女性が、ハナの頭部に手のひらをかざす。
手のひらに闘気を集中させており、いつでも闘気弾を発射できる態勢だ。
「おっと~? アイリス=ハイブリッジちゃんか~」
ハナが降参とばかりに、両手を挙げる。
これで、本格的に事態は収束した。
俺のビッグマグナムも、何とか落ち着きを取り戻しつつある。
今はミディアムマグナムぐらいだ。
「……それで、どうしてこんなことをしたんだ?」
俺は雪月花にそう問う。
「そりゃあ、もちろんタカシさんが魅力的だからですよ!」
「うふふ~。そうだよそうだよ~」
ツキとハナがそう言う。
うーん。
どうにも嘘くさい気がする。
「本当のことを言いなさい!」
みしっ!
ミティがユキの腕を握りしめる。
「うっ! ……お金目的だよ。お願いだから握り潰すのだけはやめて……」
ユキが涙目でそう言う。
その言葉を受けて、ミティは少し力を緩めた。
「なるほど。騎士爵でありBランク冒険者である、俺の金が目当てか」
いや、まあわかってたけどね?
彼女たちの忠義度は20代中盤。
千と同程度だ。
俺と千は、少し前まで敵対していた。
一方で、雪月花とは特に敵対していない。
それにもかかわらず同程度とは、千が高いと言うべきか、雪月花が低いというべきか。
「ちっ! チョロそうな新興貴族を落として玉の輿に乗る計画が……!」
「ハナちゃん大失敗~。てへっ」
「……失敗するに決まってた。触らせ損……」
ツキ、ハナ、ユキがそう言う。
ツキはもう取り繕うのをやめたようだ。
彼女の本性は、そこそこガラが悪い。
丁寧語を使うような性格ではないのだ。
「やれやれだよ。彼女たちもタチが悪いけど、それよりも問題はタカシだよ!」
モニカがぷりぷりと怒っている。
「俺か?」
「貴族としての自覚を持たないとねー。ボクたちもできる限りのフォローはしていくけど……」
アイリスがそう苦言を呈する。
色仕掛けで俺に取り入ろうとする女性は今後も出てくるかもしれない。
「わかった。精一杯気をつける」
「私も目を光らせておきますよ。むんっ!」
そんな感じで、波乱の海水浴は進行していった。
雪月花については、これ以上のお咎めはなしだ。
別に俺を害しようとしたわけではなかったようだしな。
単に色仕掛けで取り入ろうとしただけである。
その後は俺も海に入って泳いだり、みんなでスイカ割りをしたりした。
そちらでも多少のハプニングはあったが、それはまた今度の話としよう。
「そういえば、アヴァロン迷宮からの帰り道に狩ったリトルクラーケンはどうなったんだっけ?」
俺はミティにそう問う。
「ラスターレイン伯爵家が引き取ってました! 何でも、今回の慰労会で振る舞うとか」
「ああ。そういえば、そんなことを言っていたか」
リトルクラーケン。
巨大なイカだ。
さぞかし食いでがあるだろう。
ラスターレイン伯爵家が開催してくれる慰労会が楽しみなところだ。
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【人気投票企画 途中結果発表】
308.5話で実施した人気投票企画の途中結果を発表します!
なお、票数は各投稿サイトを合算しています!
モニカ5
リーゼロッテ4
ソフィア3
アイリス2
ニム2
ミティ1
ユナ1
ヒロインにまんべんなく入っています!
マリアとサリエは、308.5話の時点では主人公一行に加わっていなかったので、0票でも仕方ないですね。
蓮華に至っては、そもそも未登場でしたし……。
ちなみに投票はまだまだ受け付けていますので、お忘れの方がいらっしゃればぜひご投票ください!
【応援のお願いと告知】
本作の毎日投稿を始めて、およそ一年が経過しました!
まだまだ更新していく予定です!
フォロー、星評価などまだの方がいらっしゃれば、一周年を機にぜひ応援をお願いできればと思います!
なお、本作を更新しつつ新作も書き進めております!
新作を投稿しました折には、そちらもぜひ読んでみていただけると嬉しいです!
本作と新作は、第7回カクヨムWebコンテストに応募予定です!
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