307話 モニカとの初××

 モニカとの結婚式、ニムとの婚約のお披露目会、そしてその後の食事会が無事に終了した。

来賓客のみんなとあいさつをして、別れる。


 俺たちミリオンズで屋敷に戻る。

それぞれ風呂などを手早く済ませる。

ミティやアイリスたちは、各自の部屋に向かった。


 そんな中、俺とモニカは2人で俺の部屋に向かう。

今日はあと1つだけ大きなイベントが待っている。

モニカとの初夜だ。


 モニカは、アイリスあたりと比べると極端に羞恥心が強かったりするわけではない。

しかし、なんだかんだタイミングがなくて、キスをしたのは今日が初めてだった。

それ以上のことはもちろんしたことがない。


 お互いに風呂で体は清潔にしている。

準備は満タンだ。


 ……違う。

準備は万端だ。


 いかんな。

もう3人目だというのに、いつまでたっても慣れないものだ。

緊張してしまう。


 俺はモニカの様子をうかがう。


「タカシ……。こう見えて私、初めてなの。優しくしてね」

「ああ。任せろ」


 モニカが初めてだったとは。

俺たちミリオンズの中で、ぶっちゃけ少しだけ男慣れしていそうな雰囲気があるのがモニカだ。

彼女に経験がないのは、少し意外だ。

いや、別に他意はないが。


 モニカが立ったまま、服を少しずつ脱いでいく。

そして、彼女は下着姿となった。

黄色の下着だ。


「ミティほどの可愛らしさや、アイリスほどの引き締まった体ではないかもしれないけど……」

「いや、比べるようなものじゃない。それに、モニカはモニカのよさがあるさ」


 モニカは、なかなか引き締まった体をしている。

それでいて、女性らしいふくよかさも感じられる。

率直に言って、かなり劣情を催すスタイルだ。


「モニカ。改めて、これからもよろしく頼む。おいしい料理にはいつも幸せな気持ちにしてもらっている」

「タカシ。私も、タカシに出会って人生が変わったよ。お父さんの病気は治ったし、ラビット亭は再開できたし、それにお母さんとも再会できた。この恩は一生忘れない」


 モニカが熱い視線で俺を見ながら、そう言う。

改めて言葉にされると、確かに俺はなかなかのことをしてきたな。

まあ、ほぼチートのおかげではあるが。

モニカの気持ちを裏切らないよう、今後もがんばっていかないとな。


「モニカ……」

「タカシ……」


 俺たちは見つめ合う。

そして、俺は彼女の下着に手をかける。

少しだけ濡れているようだが、もう少し準備が必要だな。


「失礼するぞ、モニカ」

「んっ!」


 俺が何をしているか、詳細は語るまい。

下準備をしているとだけ言っておこう。

そして、しばらくしてモニカの準備は万全になった。


「ふふっ。今度はこっちの番だね、タカシ」

「うおっ!?」


 モニカが何をしてきたか、こちらも詳細は語るまい。

なかなかの舌使いだったとだけ言っておこう。

そして、俺のマグナムはビッグマグナムになった。


「これで準備オーケーだね、タカシ。じゃあさっそく、ベッドに仰向けに寝転んでよ」

「ん? ああ、わかった」


 モニカの指示通り、俺はベッドに仰向けに寝転がる。


「そのまま待っててね」


 モニカは何をする気なんだ?

先ほどの下準備といい、彼女はなかなか知識が豊富なようだ。

経験自体は初めてだそうだが。


 仰向けに寝転がる俺の上に、モニカがまたがる。

なるほど。

そういう趣向か。

彼女の鍛え抜かれた脚力を活かせば、なかなか激しいプレイが期待できそうだ。


「タカシ。愛してるよ」

「俺もだ。愛している、モニカ」


 俺と彼女は見つめ合う。

そのまま、俺たち2人は1つになった。


 こうして、夜は更けていった。



●●●



 チュンチュン。

翌朝になった。


 目が覚めると、隣で眠るモニカの顔が目に入った。

かわいらしい寝顔だ。

昨日の激しいプレイが嘘のようである。


「うーん……。おはよっ。タカシ」

「おはよう、モニカ」


 ちょうど彼女も目が覚めたところだったようだ。

朝のあいさつを交わす。

彼女は切り替えの早いタイプのようだ。

昨日の激しいプレイを思い出して照れくさそうにしたりはしていない。


 これからは彼女のこともしっかりと幸せにしていかないとな。

3人目の妻ではあるが、決してないがしろにしてはならない。

気を引き締める必要がある。


 起床して、モニカと屋敷のリビングに向かう。

特に歩き方にぎこちなさはない。


 昨日も、初めてとのことだったが、痛がってはいなかった。

別に疑っているわけではない。

初めてでも痛みを感じない人もいるだろう。


 リビングに着いた。

食事の席では、ミティ、アイリス、ニム、ユナが待っていた。

今日の食事は、セバス、レイン、クルミナが用意してくれる手はずとなっていた。

その予定通り、食事が用意されている。


「おはよう、みんな」

「おはようございます!」

「おはよー」


 俺、ミティ、アイリス。

そしてそれぞれが朝のあいさつを交わす。


 みんなの様子に、特にぎこちない空気はない。

昨日は激しかったので、普通であれば声が漏れていてもおかしくない。

しかしもちろん、対策済みなのである。


「ふふん。ゆうべは無事に楽しめたのかしら?」

「ああ。おかげさまでな。気を遣わせてしまって申し訳ない」


 俺とモニカの初夜は、俺たちミリオンズとしてもデリケートな話題である。

1人目の妻であるミティと、2人目の妻であるアイリスからすれば、俺との夜の回数が減るかもしれない瀬戸際である。

婚約しているニムや、今後結婚するかもしれないユナにとっても、先を越されたモニカの情事は気になるところだろう。

無闇に音を漏らして、不和の原因を振りまくわけにはいかない。


「わ、わたしの防音壁のおかげか、声などは聞こえてきませんでした」

「そうだねー。ボクも聞こえなかったよ。楽しめたのならよかったよ」


 ニムとアイリスがそう言う。

ニムの土魔法は、レベル5にまで達している。


 土魔法レベル5は、土魔法創造。

攻撃対象、詠唱の長さ、イメージの強さなどを制約することによって、土魔法にかなりの柔軟性を持たせることができる。

今回の場合、俺の寝室の周りに防音壁をつくってもらったのだ。


 とはいえ、あまりに完璧な防音壁だと、逆に外の異変に気づかない恐れもある。

そのため、適度な密閉性での防音壁にしてもらった。


 俺のすぐ隣の部屋は物置としている。

ミティやアイリスの部屋には声が聞こえなかったことだろう。

これで、夜の問題は解決された。

ミティやアイリスとするときも、気兼ねなくできるようになった。


「(あわわ。物置に掃除用具を置きに行ったとき、ばっちり聞こえちゃってました……。このことは僕だけの秘密にしましょう)」


 レインが何かをつぶやいている。

集中していなかったのでよく聞き取れなかった。

何やら顔が赤いが、どうしたのだろうか?

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