298話 功績発表会 勲五等~

 盗掘団捕縛作戦の功績発表会の続きだ。

勲一等から勲四等までの発表が終了した。

勲一等、タカシ。

勲二等、モニカ。

勲三等、アイリス。

勲四等、ニム。

見事にミリオンズが上位を独占している。


 ミリオンズで残っているのは、ミティとユナだ。

他に残っているのは、先遣隊のマクセルとギルバート。

救出隊のストラス、セリナ、カトレア、ディッダ、ウェイクあたりだ。

先遣隊にも救出隊にも選ばれていない人たちは、まだまだ呼ばれることはないだろう。


 ミティとユナはいつ呼ばれるだろうか。

俺はドキドキしながら待つ。


 ギルドマスターのマリーが口を開く。


「続いて、勲五等。”雷竜拳”のマクセル!」


 俺たちにとっては残念ながら、勲五等はミティやユナではなかった。

まあ、マクセルもがんばっていたしな。


 彼の近接における戦闘能力は、俺以上の安定性がある。

チートの恩恵を受けまくっているアイリスと比べても、決して引けを取らない。。

そんな彼は、ギルド貢献値が4300万ガルに引き上げとなる。


「……勲六等、”嵐脚”のストラス。……勲七等、”マッスルパンチ”ギルバート。……勲八等、ユナ。……勲九等、”百人力のミティ”……」


 残りの人の功績が発表されていく。

勲六等以下の発表は、やや駆け足になっている。

要点をまとめておこう。


 ストラスは、今回の功績で特別表彰者となった。

二つ名は”嵐脚”。

ギルド貢献値は1700万ガルだ。


 ギルバートは、ギルド貢献値が3600万ガルに引き上げとなった。


 ユナは、今回は特別表彰の対象とはならなかった。

冒険者ランクもCに据え置きだ。

おそらくだが、もう1歩といったところだろう。

次に功績を残したときに期待したい。


 ミティは、ギルド貢献値が3400万ガルに引き上げとなった。


 ここまでの発表を聞いて、やや違和感を覚える点がある。

功績の順位と貢献値の引き上げ額について、相関が一定ではない点だ。


 しかし、これはギルドの計算ミスなどではない。

普段の魔物狩りや護衛依頼の達成なども貢献値として蓄積されているのだ。

それを今回のような大きな功績と合算して、貢献値を算出しているというわけだ。


 ここで、俺たちミリオンズのギルド貢献値を整理しておこう。

紅剣のタカシ、8000万ガル。

武闘聖女アイリス、4100万ガル。

百人力のミティ、3400万ガル。

雷脚のモニカ、2600万ガル。

鉄心ニム、2300万ガル。

ユナ、未対象。

パーティ総貢献値、2億400万ガル。


 やはり、チートの恩恵を最も受けている俺の貢献値が高くなっている。

Cランクパーティであるミリオンズのリーダーを務めていることも、一定の評価対象となっているはずだしな。


 アイリスとミティを比較すると、治療魔法でも貢献値を稼げるアイリスのほうがやや貢献値が高い。

モニカとニムを比較すると、年長者であるモニカのほうがやや高い。

聞いた話では、”雷天霹靂(らいてんへきれき)”というすごい戦闘技法を習得したそうだ。

俺も、自身に流用できないか詳しい話を聞いているところである。


 ユナは、残念ながらまだ特別表彰者となっていない。

冒険者歴は一番長いが、加護というチートの恩恵を受け始めたのは最も遅いしな。

ある程度は仕方ない。

次回に期待だ。


 また、ミリオンズ以外のギルド貢献値も整理しておこう。

雷竜拳マクセル、4300万ガル。

マッスルパンチギルバート、3600万ガル。

嵐脚のストラス、1700万ガル。

彼らは、今後も俺たちミリオンズのよきライバルとなってくれるだろう。


 一方で、ソフィアの功績の発表はなかった。

彼女は捕縛作戦に参加していないためだ。

むしろ、盗掘団に味方した件で冒険者ギルドから厳重注意を受けている。

だた、彼女の必殺技はかなりのものだったし、今後の活躍次第では貢献値が引き上げられていくことだろう。


 俺がそんなことを考えている間にも、功績の発表は続いている。

ディッダやウェイク、それにセリナやカトレアの名前も比較的上位にあった。


 中上位は先遣隊と救出隊が独占している。

それよりも下位の後発隊の面々は、ほぼ同列の功績となっているようだ。

まあ、彼らは結局盗掘団と戦っていないしな。

道中の魔物との戦闘や索敵などによる貢献度の差はあるだろうが。


「……さて。功績の発表は以上となる。報酬金も用意してある。パーティの代表者が受付まで取りに行ってくれ」


 マリーがそう言って、締めくくる。

それぞれのパーティの代表者が、受付へ向かう。

あっという間に、受付に順番待ちの列ができてしまった。


「む……。少し混雑しているな」

「そうですね。急ぐ必要はありませんし、待つことにしましょう」


 ミティがそう言う。

もし彼女がまだ闇の瘴気の影響下にあれば、”列ぐらいすぐに空けなさい。気の利かない奴らですね”と言って力づくで押しのけていたかもしれない。

チンピラ風の彼女も悪くないが、やはり本来のミティのほうが俺は好きだな。


 俺たちミリオンズは、のんびりと待つ。

ギルドマスターのマリーがこちらにやって来た。


「すまんな。上位パーティの君たちを待たせてしまって」

「別にいいよー」

「そ、そうですね。これぐらいであれば、何の問題もありません。


 マリーの言葉を受けて、アイリスとニムがそう返す。


「そう言ってもらえると助かる。さて。報奨金とは別に、渡したいものがあるのだ」

「ほほう。それはそれは」


 ギルドマスターであるマリーがわざわざ俺たちに声を掛けてまで渡したいものか。

いったいどんな良いものをもらえるのだろう。

期待に胸が高鳴ってきたぜ。

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