4話 犬狩り

 そのままチンピラ2人組に連れられて、防具屋へとやってきた。


「へっへっへ。おい店主! 初心者向けの手ごろな盾はないか?」


「また新人の面倒見てんのか。何の得にもならんことを……」


防具屋の店主が言う。

ちなみにドワーフとかではなく普通のじいさんだ。


「へっへっへ。いいんだよ。別に得するためにやってんじゃねえ。オレも若い時に先輩に助けてもらったことがあるからな。その恩返しみたいなもんよ」


「兄貴、かっこいいっす! ギャハハハ!」


店主に勧められるままにスモールシールドを購入した。

名前の通り小さ目の盾だ。

普通のサイズも一応試してみたが、少し重く感じた。


「へっへっへ。おうおう、一丁前に似合ってんじゃねえか。格好だけは一人前だな!」


「問題は使いこなせるかどうかだ。しかしいきなり実戦もマズイ。まずは街から出て少し歩いたところでオイラ達と練習だぜ! ギャハハハ!」


その言葉通り、街の外で小一時間ほど練習した。

親切に指導して頂いた。

そして、いよいよファイティングドッグの討伐である。


「へっへっへ。ファイティングドッグは闘争本能が強い。中途半端な攻撃を重ねても、粘り強く戦ってきて厄介だ」


「まずは回避に専念! 隙を見つけて重い一撃をぶつける! そうすると安全に狩れるんだぜ。急がば回れってやつだな。ギャハハハ!」


「はい! アドバイスありがとうございます! アドルフの兄貴! レオさん!」


ここに来る途中、彼らの名前を教えてもらった。

敬意を込めて、「兄貴」と「さん」を付けて呼んでいる。


彼らのアドバイスに従いとにかく回避に専念する。

歯を剥き出しにして襲い掛かってくるので怖い。

必死に避ける。


危ない場面も多いが、意外となんとかなりそうだ。

避け続けて、避け切れなくなったら盾で状況を立て直す。

そして思い切って剣で切り付ける。

剣術レベル1の恩恵が大きい。

盾も役立つ。

言うとおりに買っておいて良かった。


ポイントが入れば回避術を取るのもありだな。

今は彼らがいるから安心だが、ソロでやるなら更なる安心感が欲しい。


ファイティングドッグは群れでは行動しない。

つまり、1匹倒すごとに休憩できる。

HP強化や体力強化はまだいらないだろう。


ファイティングドッグは気配を隠すこともしない。

常に興奮したような息遣いで、気配がダダ漏れだ。

気配察知もいらないな。

この辺りは見晴らしも良いし。


より少ない手数で倒すためには、腕力強化や肉体強化もありか。

剣術レベルを2にすれば、急所に当てやすくなるかな?


数匹狩ったところでレベルが上がった。

スキルポイントを振りたいが、彼らが見ている。

突然動きが良くなったら、いくらなんでも不審に思われるかもしれない。

スキル取得は宿に帰ってからじっくり考えることにする。


さらに犬狩りを続けていると、調子が出てきた。

いや、何か調子が出過ぎた。


「ひゃーはっはっは! そんな攻撃当たらないぜー!」


「クハハハハ! 小物が! 死ねい!」


「シャハハハハ! 所詮は犬! 人間様の敵ではないわ!」


「ハーッハッハッハ! 闇の剣に裂かれて眠るがよい!」


これは全部俺のセリフである。


いや、お恥ずかしい。

ついテンションが上がっちまった。

何せ生き物を殺すとか、初めての経験だしな。

彼らの口調が移ってしまった。


「ぐひひひひ! アドルフの兄貴! レオさん! こんなものでどうでしょうか?」


「お、おう……」


「お前、何か雰囲気変わったな……」



レベル3、たかし

種族:ヒューマン

職業:剣士

ランク:E

HP:33(30+3)

MP:17

腕力:11(10+1)

脚力:11(10+1)

体力:18(16+2)

器用:15(14+1)

魔力:17


武器:ショートソード

防具:レザーアーマー、スモールシールド


残りスキルポイント40

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル1

肉体強化レベル1

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