5話 この素晴らしい兄貴達に感謝を

初の魔物狩りは無事に終了した。

ちょっとテンションが上がり過ぎてしまったが。


ファイティングドッグの死体運搬は、アドルフ兄貴とレオさんが協力してくれた。

近場での狩りだと、そのままの形でギルドに持ち帰るのが一般的なようだ。

大きめの獲物を狩るなら、荷車を借りておくといいらしい。


ちなみに遠出の場合は、高価な部位だけを剥ぎ取ったり、ポーターという荷物運び専門の人を雇っておいたりする。

高ランクの冒険者だと、アイテムバッグを持ってたり、パーティにアイテムボックスやアイテムルームを使える人が居たりするものだとか。


アイテムルームってなんだろう。

たぶんアイテムボックスの上位版かな。

アイテムの箱、アイテムの部屋。

うん、たぶん上位版だな。


冒険者ギルドに戻り、ギルドカードを提出し報告をする。


討伐報酬と買い取り額を合わせて、たった銀貨2枚だった。

初日とはいえ、宿代にも満たない。


兄貴達のアドバイスと剣術スキルがなければ、命の危険もある厄介な相手だった。

肉体強化レベル1の恩恵も実感しにくいが確かにあるはずだ。

そんな有能な先輩と微チートを持つ俺でも、今日の稼ぎはたった銀貨2枚。

冒険者はなかなか厳しい職業である。


ファイティングドッグの死体が傷だらけだったのが問題だ。

買い取り額が大幅に減らされてしまった。

剣術レベルを上げたいな。


後ろで待っていた兄貴達が話しかけてきた。


「へっへっへ。今日の狩りで随分と慣れただろう? 思っていたよりも剣筋は良い。だがまだまだだ。明日も付き合ってやるよ」


「慣れたと思ったときが一番ケガしやすいんだぜ! 油断大敵だ! ギャハハハ!」


「へっへっへ。明日の朝は、北門に集合だ! いいな?」


「はい! よろしくお願いします!」


今日のお礼を何かしようと思ったのだが、さっさと行ってしまった。

何かお礼をしないとなあ。


宿に戻り、ベッドに寝そべる。


今日の狩りでレベルが2上がり、スキルポイントが40入った。

おそらくレベルが1上がるごとにスキルポイント20が入るのだろう。


スキルポイントを5消費し、肉体強化をレベル2にしよう。

これぐらいなら不審に思われないだろう。

レベルアップ時のステータス上昇分の方が大きいし。


ステータス操作で肉体強化を選択し、実行する。

一瞬視界が点滅する。


ステータスを確認すると、ステータス全体に更なる補正がかかっていた。

肉体強化レベル2の強化率は、おそらく20%だろう。

肉体強化をレベル2から3にするには、スキルポイントが10必要なようだ。

今は保留とする。


最初に取得するには、10ポイント必要。

レベル1から2には、5ポイント必要。

レベル2から3には、10ポイント必要。


ここから考えると、「レベル3から4には、15ポイント必要」かな。

最大レベルがいくつなのかも分からないし、これ以上は考えても仕方がない。



●●●



結局、さらにそれから2日間、特訓と犬狩りに付き合って頂いた。


今日が最終日と伝えられている。

順調に犬狩りを終え、冒険者ギルドに戻ってきた。

ギルドカードを提出し報告をする。


「ファイティングドッグの討伐と、その素材買い取りですね。少々お待ち下さい。……………………はい、お待たせしました。では討伐報酬と買い取り額を合わせまして、銀貨5枚となります。ファイティングドッグの状態が良かったので、少し高めの買い取り額となっています」


剣術レベルは1のまま変わっていない。

経験を積んだことによって、スキルの扱い方が上手くなった結果だろう。


盾も結構練習したのだが、取得できていない。

ステータス操作に頼らない自力でのスキル取得は、なかなか根気が必要なようだ。


報酬を受け取り、受付嬢に礼を言って離れる。

兄貴達が話しかけてきた。


「へっへっへ。銀貨5枚か。今日と同じことを繰り返せば、生きていくには困らないだろう。お前はもう一人前のEランク冒険者と言っていい。経験を積めば、さらに余裕も出てくる。金を貯めて、もう少し良い武器と防具を揃えるんだ」


「できれば同じくらいの実力の奴を見つけてパーティを組め。一人当たりの報酬は減りがちだが、安全性が格段に上がる。長生きしたいならパーティメンバーは必須だぜ。ギャハハハ!」


「へっへっへ。武器防具を揃えてパーティを組めたら、Dランクも見えてくる。頑張れよ!」


何から何まで兄貴達には世話になりっぱなしである。

今日こそはお礼をしないと。


「アドルフの兄貴、レオさん。今まで本当にお世話になりました。あの、これはお礼です」


そう言って俺は彼らに酒ビンを渡す。

現金でのお礼は2日目に断られてしまっている。

この3日間の様子から、彼らは報酬目当てで付き合ってくれている訳ではなさそうだが、せめてこれぐらいはしないとな。


「へっへっへ。昨日も言ったが、別にお礼なんていいんだぜ? まあせっかくだからもらっておくぜ」


「後でおいしく飲ませてもらおう。ギャハハハ!」


「他にも……、何か俺にできるお礼はありませんか?」


「へっへっへ。この酒で十分だよ。まあどうしてもって言うんなら、いつかお前がDランクやCランクになって余裕ができたときに、同じことを新人にしてやれ」


「それがオイラ達の望みだ。ギャハハハ!」


「はい……、分かりました! いつかきっと、そうします!」



レベル4、たかし

種族:ヒューマン

職業:剣士

ランク:E

HP:40(33+7)

MP:19

腕力:16(13+3)

脚力:14(12+2)

体力:22(18+4)

器用:19(16+3)

魔力:18


武器:ショートソード

防具:レザーアーマー、スモールシールド


残りスキルポイント55

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル1

肉体強化レベル2

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