3話 冒険者登録とチンピラ

冒険者ギルドにやって来た。

宿から10分程歩いたところにある。

外観はなかなかきれいで、荒くれ者の集合所というような印象は受けない。


中に入ると、受付嬢と目があった。

歳は20くらいか。

お姉さんタイプだな。

なかなか可愛い。


彼女がカウンター越しに話しかけてくる。


「こんにちは。ご依頼ですか?」


「いえ、冒険者登録をしようかと……。冒険者ギルドの説明をお願いできますか?」


「はい。冒険者ギルドでは、各冒険者のランクに応じて様々な依頼をご紹介しています。また、依頼とは独立して魔物の討伐報酬もあります。討伐報酬はギルドカードに自動記載される情報に基づいて支給されます。ギルド会員以外は受け取れません。他にも、討伐した魔物素材の買い取りも行っています」


「なるほど。ランクとは何でしょう?」


「功績に基づいて設定されます。最初はEです。Eランクの内はあまり信用がありませんので、雑用レベルの依頼が多いです。Dランクになると、商人の護衛のような依頼が受注できるようになります。さらにランクが高いと、報酬の高い依頼を個人的に指名されることもあります」


「よく分かりました。注意点等は何かありますか?」


「とくにありませんね。ただ、依頼中のケガや冒険者同士のケンカにはギルドは関知しませんし、補償もありません。自己責任です。また、当面は関係ないと思われますが、Cランク以上になるとギルドからの強制依頼が発令されることがあります。無視すると罰則があります」


「了解しました。では登録をお願いしたいと思います。よろしいですか?」


「登録料として銀貨1枚を頂きます。こちらの用紙に名前と職業をご記入下さい。代筆致しましょうか?」


「いえ、大丈夫です」


異世界言語のスキルにより、問題なく文字を理解し書くことができる。


名前:タカシ

職業:剣士


と記入し、銀貨と共に受付嬢へと提出する。


「お名前は、タカシ様……。職業は剣士ですね。ではギルドカードを発行致しますので少々お待ち下さい」


そう言って彼女はカウンターの奥へと引っ込んでいった。


「お待たせしました。こちらがギルドカードになります」


「ありがとうございます。今の時期にオススメの狩場はありますか?」


「そうですね……。北の草原でファイティングドッグが繁殖しています。討伐報酬は低めですが、戦闘力もあまり高くありません。ただ、油断はしないで下さいね。新人の冒険者の死傷者も毎年出ていますので」


「分かりました。色々とありがとうございました。早速行ってきます」


俺がそう言って出口へ向かおうとした時、2人組から下品な声が掛けられた。


「へっへっへっ。初心者が犬っころの討伐かい? お前さん程度じゃ返り討ちだぜ!」


「兄貴の言うとおりだぜ! ギャハハハ!」


マズイ、いきなり絡まれた。

このラーグという街は治安が良いと感じていたが……。

やはり冒険者はチンピラが多いのか?


「へっへっへ。おい、何とか言ったらどうなんだボウズ」


「こんな細腕で本当に戦えんのかあ? ギャハハハ!」


無視して出口へ向かおうとすると、行く手を塞がれる。


うーむ、マズイ。

さすがに剣を使うのは駄目だろうな。


受付嬢の方をチラリと見ると、ニコニコと微笑んでいて、助けてくれそうもない。

そうか、さっきケンカには不干渉って言ってたな。


いや、これはケンカじゃない。

ただの新人イビリだろう。

助けろ。

つうかなんで彼女は微笑んでいるんだ……。

せめてここはおろおろする場面だろう。


いや、こんなことを考えている場合じゃない。

登録初日から問題を起こしていては先が思いやられる。

ここはどうにかして丸く治めないと。

どう言おうか考えていると……


「へっへっへ。おら、オレ達も付いて行ってやるからよ。ファイティングドッグは油断してると意外とケガするんだぜ」


「兄貴のご厚意に感謝するんだな。ギャハハハ!」


ん?


「へっへっへ。お前金はねえのか? 小さ目でも盾があると大分楽だぞ」


「何ならオイラが貸してやろうか? ギャハハハ!」


もしやこいつら……。

実は良い人っていうオチか?



レベル1、たかし

種族:ヒューマン

職業:剣士

ランク:E

HP:23(21+2)

MP:13

腕力:7(6+1)

脚力:9(8+1)

体力:13(12+1)

器用:11(10+1)

魔力:14


武器:ショートソード

防具:レザーアーマー


残りスキルポイント0

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル1

肉体強化レベル1

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る