第4話 4月10日 土曜日 【やりたいことリスト】

 昨日ずっと抱えていた恐怖を優に打ち明けることができたおかげか、久しぶりにそれなりに寝ることができた。待っていた練習試合でも、昨日とは比べ物にならないぐらい軽く動けて、先輩にも「遥香調子良さそうだね。」と褒めてもらえた。


 お昼ごろに試合は終わり、隣のコートで試合をしていた優と今日の試合の話をしながら帰ってきた。両親は親戚の家に呼ばれたらしく、お母さんが作っておいてくれたお昼ごはんを食べて”その日”までにやりたいことリストを作った。





✎___やりたいことリスト


・SNSで話題のアイスを食べてみたい

・水族館に行きたい

・夏祭りに行きたい

・杏夾とお泊り会がしたい

・クリパしたい



やりたいことはいっぱいあるはずなのに、いざ書こうと思うと思い浮かばない。

残りは思いついたときに書くことにして、リストの1番下に小さな小さな文字で

優と両思いになれますように。と書き足した。



ぴんぽーん。

「こんにちは、遥香です。」

トントンと階段を降りてくる音がして、少し間が空いた後、

「どした?なんかあった?」

とパーカーにジーンズというラフな格好で優が出てきた。


「なんにもないって。最近なにかあった?って聞きすぎじゃない?」

私が少し笑いながら聞き返すと、

「普段ならLIME送ってくるから、直接来ないじゃん。てか、質問の答えになってないんだけど。」と逆に返された。


「ま、いいや。上がって?」

「おじさんとおばさんは?」

「あの二人なら買い物に行ったと思う。」

なるほどねと言った後、お邪魔しますと家に上がった。


「家に来んのなんか久しぶりじゃん?」

確かに最近来てなかったかも。別に優のことが嫌いになったとかじゃなくて、行ったところで特に用事がなかったから行かなかっただけなんだけど。中学の時とかはゲームをしによく来てた気がするけど、最近は会うとしても外で遊ぶことが多かったからな。


「何飲む?オレンジジュースとお茶があるけど...」

「お茶がいい。」

「絶対言うと思った。」

「優はオレンジジュースでしょ?」

「正解!」

あっでも、と言うと優は自分のコップにもお茶を注いだ。

「オレンジジュースにするんじゃなかったの?」

「遥香がお茶にするなら俺もお茶にしよって思った。」

変なの。なんて言っちゃったけど、お揃いって感じがしてなんか嬉しい。

2つのコップにお茶を注ぐと、よっこいしょ。と優は隣りに座った。

部活の話とか勉強の話とか、最近ハマっているものの話とか。

目的もなく話をするのは久しぶりで、話し始めたらきりがなくて、気付いたら夕焼けが綺麗だった。






___残り357日。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る