第2話 2021年 4月5日 月曜日
私に残された時間は1年間。1年後に私は死ぬ。
どうしようもない恐怖に襲われ続け、この土日は寝れなければ、
食事も喉を通らなかった。
幸いなことに学校は明日から。
今日は幼馴染の優と午後から買い物に行く予定だった。
優は幼稚園に入園する時、隣の家に引っ越してきた。
最初はすごく人見知りで、私がいないとすぐに泣いちゃうような男の子だった。
今ではバスケ部に入り、身長も私より高くなってかっこよくなった。
友達からは、付き合ってるの?なんて聞かれるけど
優はどう思っているんだろう...
「みんながお似合いだねって言ってたんだけど笑」
って冗談半分に言ったことがあるけど、
俺らってそんなふうに見えてんのかな、ってうやむやにされたから
実際どんなふうに思われてるのかわからない。
すごく気になるけど、直接聞く勇気もない。
___ぴんぽーん。優です。こんちわ。
あら、優くん久しぶりね。また背、伸びたんじゃない?
遥香〜、優くん来てくれたわよ〜
優は私のことどう思っているんだろう...なんて考えているうちに優が来た。
私達が普段買い物に行くのは、バスで15分行ったところにある隣の市のショッピングモール。今日買いたいのは、古典の授業で使うノートと、友達の誕プレ。
どこから回りたい?
どこからでも。そっちこそどこから回りたい?
俺もどっちでも。
じゃ、とりあえずモール着いたら近いところから回ろ?
なんて、優といるときってなんにも気にせずに素の自分でいられるから好き。
優の隣にいるときの自分が1番好き。
___でも、いつか優の隣は誰かのものになっちゃうのかな。
こんなに優しくて、面白くて、みんなの人気者みたいな優だから、優のことを好きな人なんて、たくさんいると思うんだ。いつまで隣にいられるかな。
私が隣にいていいのかな。
___バスが来る。エンジンの音がする。たまらなく怖い。
あの光景が蘇ってきて。あの衝撃を思い出して。
___。__か。_るか!遥香!!
「あっ、どうしたの?」
「いや、すごい怖い顔してたぞ。腹でも痛いのか?
それに隈もすごいけど、体調悪いのか?無理すんな?」
危ない。気付かれるところだった。どくどくと音を立てて嫌な脈を打つ。
冷や汗の止まらない手を後ろに組みながら、「課題が難しくってちょっと寝不足だったかも」というと、すこし不満そうな顔をしながらも、「大丈夫ならいいけど...」と優は言ってくれた。
私のことを誰よりわかってくれている優だから、気をつけていないと気付かれちゃう。
あと1年間なんとしてでも隠し通さなきゃ。
___残り362日
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