すーぱーアイドル、うさちゃん 2
「あれ? やっぱり驚いちゃった? でも、そうだよね。兎が人間に化けるとは思わないもんね」
「あんた、誰よっ! 急に出てきて、もしシズになにかしたら殺すわよっ!」
今まで私がなにと話してるのか、マギアには見えていなかったらしい。
たぶん、無視してくれてたのだと思う。
特にそのことは気にもならず、大事なことを確認する。
「えっと、うさちゃんなんだよね?」
「そうだよぉ~」
彼女が言葉を発する度、その可愛さに拍車がかかるので、私はもう完全に限界だった。なにが? 理性が。
「もう、私ばっかり自己紹介してるんだけどぉー。みんなも自己紹介してよぉー。えっと、シズちゃんでいいのかな? かな?」
マギアが私の名前を言ったからか、彼女は私にそう言葉を投げ掛けてくる。
彼女の言ってることももっともな話なので、私が自己紹介をしようとしたそのとき、
「あんたが誰なのか知らないけど、シズに馴れ馴れしいわよ! これは、万死に値するわ! 死をもって償いなさい!」
「こわっ! えっ、怖いよ! なに、話しかけるだけで、私は死ななきゃいけないの。嘘でしょ! こんなところで
マギアがそんなことを言い出した。
いや、本当に怖い。というか、私も怖い。
マギアの中で私の存在が、なんか神レベルの話なってるから。
そんなことを思うも、うさちゃんが本当に殺されかけてるので、マギアを止めることにする。
「マギア、いいから」
「で、でも……。わかったわ。シズがいいっていうならやめるわ。ふんっ。シズのこの慈悲深さに感謝することね!」
おかしいのはマギアだと思うけど、怖いからもう何も言わない。
私がそう思ってると、
「私、許されたの? やったぁぁぁ! シズちゃぁぁん! 怖っかったよぉぉ!」
今度はうさちゃんが私に泣きついてきた。
なんだか、これはこれで鬱陶しい。
それでも、マギアのしたことを考えると、こうなっても仕方ないなとも思う。
それに、なんていうか、こう、母性みたいなものが溢れてくる。
「そうだよね~。怖かったよね~。よしよし」
私が気づいたときには、そう言いながら頭を撫でていた。
こじんまりとしてるうさちゃんは、身長的にも、体格的にも、なんかこう、ぎゅ~っとしたくなる可愛さがある。
そう思った次の瞬間には、私はうさちゃんのことをぎゅ~っとしていた。
ぎゅ〜。かわいい。私にもこんな妹がいたらな~、なんてことを考えてると、
「な、ずるいわよ! わ、私だって、そんなことしてもらったことないのに」
それを見かねたマギアが、また憤慨していた。
いや、マギアが悪かったわけだし、いいでしょ。
すぐに「殺すわよ」とかいうから、怯えちゃうんだよ。
「マギアはそんなことしなくても平気でしょ?」
「そ、そうだけど……。そういう問題じゃないの!」
けど、マギアが納得してくれることはなかった。
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