すーぱーアイドル、うさちゃん

「でも、よくこの場所に来れたね」


 うさちゃんは、なんか意味のわからないことを言う。それも、感心したように。


「しかも、女の子が来るとは思ってなかったよ~」


 やっぱり、なにを言ってるのよくわからない。なんの話をしようとしてるのか。


「その、どういうこと?」


 私は思わずそう聞いてしまった。

 気になっちゃったから、仕方ない。


「えっ? だって、この場所って大きな結界があるんだよ? それも、単なる結界じゃなくて、ここに来れないように、迷うような結界になってるんだよ」


 そ、そんな結界があるんだ。

 目がいいとか、そんなレベルなのか、ミリアちゃん。かわいい。

 ということを思いながらも、今はうさちゃんのことが大事だと、自分に言い聞かせる。


「えっと、それだけなの?」


「ううん。他にも、幽霊がいたと思うけど、もういないのかな。昔はいたんだけどね」


 幽霊……!?

 その言葉に、私はビクンッ! とわかりやすい反応をする。

 その様子で、まだ幽霊がいることがわかったのか、うさちゃんは「なんだ、まだ居たんだね」と、少し笑いながら言った。


「あっ、やっと溜まった~。それじゃ、もう一度、自己紹介するねっ!」


 急に、また意味不明なことを言い出す、うさちゃん。

 てか、溜まったってなにっ!?

 私は、うさちゃんがなにかすることだけはわかるので、なんとなく身構える。

 そのとき、少しメガネの位置がずれたから、剣の柄を持つ手とは逆の手で直す。


「驚かないでよぉ~?」


 そう言うと、白いフワフワした兎は光だす。

 すると、次の瞬間……!

 あたりを光が襲う。あまりの眩しさに、


「うわっ!」


 と、驚いたような、うめき声がでる。


「えっ! なになに、どういうこと」


「なんだ、これ」


 二人もこればかりはなにが起きたのか全く理解できないせいか、あんなに静かにしていたのにそんな声を漏らしていた。

 そして、光はなにごともなかったかのように引いていく。

 そして、そこにいたのは……。


「ふっっわふわと、あんま~い時間をお届けっ!」


 うさちゃんは、パチリとウインクする。


「ウィンソウ家のメイド兎こと、宇佐美うさみのうさちゃんですっ!」


 かわいいお耳に、ふわふわした尻尾っ!

 さっきまでの少しモソモソした声ではなく、どこまでも透きとおるような響きのある声っ!

 さっきは目線より下から声が聞こえてきたのに、今は目線と同じくらいのところから声が聞こえてくる。

 そこには、不思議の国のア○スの主人公、アリ○が、うさ耳とうさ尻尾を付けて、男子オタクがとびっきりかわいく描いたイラストのようなかわいさの女の子がいた。

 あそこまでしっかりとしたアイドルのような挨拶ができるのは、たぶん、うさちゃんくらいしかいない。

 つまり、目の前に突然現れた美少女は、うさちゃんだということ。

 その結果、全員が面食らって、声がでなかったのだった。

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