宝箱を開けただけなのに、うさぎの仲間が増えました 2

「それじゃ、使ってみるね?」


 私はそう言うと、宝箱の中に入ってるあかぶちメガネをかける。

 すぐに効果が出始めたのか、視界の右上になにかでた。

 そこには、


『協力者召喚可能』


 そう出てた。

 なんか、異世界という気持ちが薄れるなぁ~。

 どっちかというと、ゲームという気持ちのが強くなる。

 スキルだとかそんなのも、レベルアップ制だし。

 ただ、ここで一つ疑問なのは、協力者というのがなんなのか、ということ。

 それと、もう一つ問題なのは、


「……っ! し、シズっ! その、私に愛を囁いて。いや、囁いてください」


 そう、マギアが変態化した。

 もはや、意味のわからないことまで言い出してる。

 正直、私としては引いてる。

 ハンディーは、「ご愁傷さまです」と呟いていた。

 つまり、私がどうにかしろということだ。


「お願い。私に、私に、愛をぉぉーっ!」


「まず、キモいから、それをどうにかして。それに、いつもそんなこと言ってないでしょ? いつものマギアの方が、私は好きだよ」


 私は、どうにかしてマギアに戻ってもらおうと思い、そう言っただけだったのだが、


「あ、ありがとうございます! ......シズ、今のは忘れてちょうだい」


 なんかお礼を言われた。

 そして、唐突にもとのマギアに戻った。

 しかも、かなり恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしている。

 そこまで恥ずかしいのなら、最初からやらなきゃいいのに、と思うのだが、なんかいろいろあったのだろう。

 というか、そう信じたい。そうじゃなかったときのことなんて、考えたくもない。

 なにか乗り移ったんだ、きっと。


「それで、そのめがね? というやつは、なんか効果があったのか?」


 「う~ん……」と、私は少し唸る。

 実際、私が知ってるメガネとしての効果はない。

 けど、なんかよくわからない『協力者召喚可能』という文字が、視界の右上に出てる。

 そんな風に、私が答えに困っていると、


「もうー! なんで、召喚可能ってしてるのに召喚してくれないのー!」


 なんか勝手に出てきた。

 それも、かなり可愛らしい、白いモフモフしたやつだ。

 ウサギのようにも見えなくはないのだが、ウサギだと断言はできない。

 私の知ってるウサギとはあまりにも、似ても似つかないから。

 と、私がそう呆然としてると、


「あの、無視するのはやめてほしいんだけど……。その、悲しいから」


 マギアもハンディーも、あまりのことに呆然とするしかなかったのか、無視するようなかたちになってしまったらしい。

 その状況に、私は少し申し訳ない気持ちになってしまい、心の中で、なんか、ごめん……、と謝っておいた。

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