森を歩いていたはずなのに、屋敷につきました 6

 ハンディーは、渋々といった感じで、扉を開ける。

 うーん……たぶん、大丈夫だな。

 私はハンディーの様子からそう判断すると、さっきまでいたところに戻る。


「それじゃ、中に入ろう」


「あのさ、俺をトラップの有無の確認に使うのやめろよ!」


 スライムのくせに、なんか言ってくる。

 そもそもの話、連れてってあげてるんだから、それだけでも感謝してもらいたい。

 それに、役に立つって散々言ってたんだから、役に立ってもらわないと、こっちとしても割に合わない。

 結果、スライムのごときがしてきた要求は受け入れられない、ということで……。


「この場に置いていかれるのと、今後もそういうことするの、どっちがいい?」


 とりあえず、究極? の二択を突きつけることにした。

 まあ、なんとなく回答はわかってる。


「……わかった。わかったから、連れてってくれ」


「うんうん。それで、いいんだよ」


 結局ハンディーは嫌々ながらも、それを受け入れる。


「ハンディーは贅沢なのよ。シズがわざわざ連れってくれてるというのに。ちゃんと、分をわきまえなさい!」


 マギアが、マギアがまともなことを言った……!

 最近なにかに目覚めたせいでおかしなことを言っていたマギアが、まともなことを言ったことに、私は感激していた。

 そして、部屋の中に入る。

 部屋の中は、他の部屋とは全く違っていた。

 扉は他のところと違いがなかったため、部屋の中のその異様な光景に驚く。

 だって、部屋の中には、だったから。


「すごく、怪しい……」


「そうね。そもそも、こんなところにポツンと宝箱が置いてあるとか、不自然すぎるわ」


 マギアがまともにそう言ってくれる。

 う~ん……どうしようか。

 正直いうと、開けたくない。

 私の予想が正しければ、この宝箱の中身は、ミミックだと思う。

 この部屋の中央にポツンと置かれてるのは、さすがに不自然すぎる。


「なあ、いろいろ考えてるところ悪いんだが、その中身、普通にモンスターとかじゃないぞ?」


 部屋の中に入ってから、一言も発してなかったハンディーがそう言った。

 てか、そういうことはもっと早く言ってよ! いろいろ考えてた私が恥ずかしいじゃん!


「ハンディー、それ本当でしょうね? もし、シズがかすり傷でもしようものなら、ただじゃ置かないわよ!」


「本当だ。俺は魔物だからな。モンスターとかの気配ならわかる」


 ハンディーがそう言ってるから、私は信じることにする。

 トラップとかがあったら嫌だなとは思うけど、そのときはマギアがどうにかしてくれるだろうと思いながら、私は宝箱の蓋を開けた。

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