森を歩いていたはずなのに、屋敷につきました

 あたりは真っ暗というわけでもない。

 だって、怖いのとか私、絶対無理だから。死ぬから。真っ暗とか生きていけないから。

 なので、焚き火をたいている。

 夜ごはんはマリアが作ってくれた。

 予想通りというか、思った通りだったというか、めっちゃおいしかった。

 ちなみに、ハンディーはスライムに戻ってる。

 人間の姿になってるのは嫌らしい。

 というか、疑問だったことを聞いてみよう。


「ねえ、ハンディー。なんで、そんな喋り方をしてるの?」


「うん? これか? いや、喋れるようになったのはいいんだけどな、やっぱナメられてるせいで困るんだよ。で、この喋り方にしてる」


 あー、なるほどね。

 それは少し納得できる。

 もし、私がスライムとかゴブリンとかそういう系のモンスターになってて話せたら、私も同じような話し方をすると思う。たぶんね?

 いや、もしかしたら、すぐ死ぬかもしんないけどね。

 だって、スライムにしろ、ゴブリンにしろ、雑魚モンスターなわけだから、すぐ死にそうな気がする。

 そう考えると、レベル100になるまで生き残ってる、このスライムって、結構すごいんじゃない?

 いや、まあ、雑用係以外の何ものでもないことは、かわりないんだけどね。

 そうして、私たちは夜を過ごしたのだった。


 次の朝、私が起きる頃にはみんな起きてた。

 てか、スライムって寝るのかな? まあ、寝るよね、たぶん。


「あら、シズさんやっと起きましたか。あと3分ほど遅かったら、先に行ってたところです」


 おいてかないでよ! せめて起こしてよ!

 そんな、なんか危ない状況だったことを知りながら、朝ごはんを食べる。

 昨日の夜ごはんの残りなだけに、味気ない。

 そうして、静かに朝ごはんを食べてると、


「それじゃ、中央都市へ行くわよ!」 


 マギアがなんか張り切っていた。理由は全然わからないけど。

 というか、そこまで張り切る必要もないとは思う。

 まあ、やる気があるってことはいいことなわけだし、なにも言わないけど……。

 それにしても、なんであんなにも元気なんだろう。

 何かいいことでもあったのかな。


「マギアさんは朝から元気ですね」


「そりゃそうよ。だって、こんなふうなことをするなんて、初めてなんだもの。とってもワクワクしてるわ」


 なんか、遠足前日の子どもみたいなことを言い出した。

 でも、確かに、私も初めて友達とお泊まり会とかしたときは、なんだかとてもワクワクして、あんまり寝れなかった記憶はある。

 みんなそんなものなんだろう。

 そんなことがありながらも、今日という一日が始まるのだった。

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