《幕間》スライムに性別あったんですね

「やめろ! 殺さないでくれ!」


「それじゃ、早く変身しなさい」


 スライムは変身するか死ぬかを天秤にかけているのか、少しの間沈黙がおとずれる。

 いや、天秤にかけるまでもなく変身するでしょ!

 そもそも、なんで変身しなかっただけで殺すことになってんの! いや、重すぎるでしょ!

 なんかマギアの私に対しての感情がおかしくなってきてる。どうしたものか……。

 それを考え始めようとすると、スライムの答えが決まったようだった。


「わかった。変身する。だから、一つだけお願いを聞いてくれないか?」


「お願い?」


「そうだ。お願いを聞いてほしい」


 う~ん……。

 まあ、内容にもよるけど、できれば聞きたくはないな~。


「魔物なんかの言葉に耳をかさなくてもいいと思いますよ、マオさん」


 確かに。

 そもそも、魔物なんかの話を聞く必要はないな。でも、私は日本で育ったからな。

 一応ね、力の強いものは、力の弱いものの話を聞くだけ聞いてあげたいんだよね。

 日本で育ったことが関係あるかは、わからないけど……。


「えっと、一応話だけは聞いておこうかな」


「笑わないでください」


「えっ…………? それだけ?」


 それぐらいだったらいいような気がするんだけども……。なにかあるのかな……。


「それくらいなら、いいんじゃない?」


「私は、シズがいいならそれでいいわ」


「はい。その程度でしたら……」


 ふと、ミリアちゃんの方をみる。ミリアちゃんは静かだなとか思ってたけど、単にもう寝てたのか。

 てか、ミリアちゃんかわいい……。

 じゃなくて、今はハンディーだった。

 そうして、待ってるとスライムは変身した。


「えっ……! 女の子…………?」


「男だと思ってたのですが、女の子だったんですね~」


 そう、女の子に変身したのだ。服もあるんだ。

 私も、てっきり男だと思ってた。

 というか、あんな喋り方をしてたら男だと思ってもおかしくないでしょ。

 いや、単に女の子に変身しただけなのかもしれないけど……。


「そ、それで、何をすればいいんだ?」


 相変わらず喋り方は変わってはなかったけど、めちゃくちゃ声が高い。

 というか、めっちゃかわいい。

 例えるなら、クラスには一人いる誰にでも分け隔てなく接してくれる、天使みたいな女の子が、男口調で話してるといった感じ。


「えっと、女の子ってことでいいんだよね?」


「そ、そうだが? てか、そうだから変身したくなかったんだよ!」


 よくわからないけど、なるほど。

 まあ、それぞれあるってことだよね。


「それで、何をすればいいんだ?」


「変身する前に言ったじゃない。テントを立ててちょうだい」


 私がそれを言う前に、マギアが言ってくれた。

 まあ、早くやれってだけだと思うけど……。


「わかった」


 ハンディーはテントを立て始める。

 それに合わせて、私たちもよるご飯の準備をゆっくりと始めるのだった。

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