みんなで冒険に行きませんか? 4
「ねえ、マリア。本当にこの辺だったの? 似たところってだけで、ここじゃなかったんじゃないの?」
あれから歩くこと数十分。
近道である森に入った。いよいよ昆虫型モンスターが出てくるようなところに来てしまった。
ちなみに、近道しても中央都市まで、3日は掛かるらしい。
近道しないと5日ということなので、やむを得ず、近道することにした。
「そうかもしれないですね。その、妹のトラウマになっているので……」
それなら、その方がいいよ! てか、出てくるな虫! いや、昆虫型モンスター!
そんなとき、ガサガサという音が、茂みから聞こえてきた。
「やっとだわ! どんな昆虫型モンスターなのかしら!」
「いやー! 出てこないでー!」
「あら、出てきてしまいましたね」
予想通り喜んでるマギア。
なぜか、嬉しそうにそんなことを言うマリア。
もちろん絶叫してる私。
ちなみに、ミリアは気絶していた。
よかった。一人だけ仲間がいた。
ガサガサ、ガサガサ、茂みからそんな音をたてながら飛び出してきたのは、一匹のスライムだった。
「て、なんだ。スライムね。やってもいい?」
「残念ですね。あら、ミリアは気絶してしまったんですね」
どうして残念そうなのかわからないけど、ミリアが気絶してるのに、なんでそんなに冷静なの?
「やめろー! 俺のことは殺さないでくれー!」
「えっ、だれ?」
「俺だよ俺!」
そんな声とともに、ぴょーん、ぴょーんと、飛び跳ねながらアピールしてくるスライム。
て、もしかして──。
「ねえ、シズ。そのスライムやっていい?」
「いや、ちょっと待って」
「なんでよ! スライムのくせに喋るだなんて、生意気でしょ!」
「いや、それは別にいいじゃん」
「頼むから殺さないでくれー! そうだ、俺をペットにしてくれ!」
えっ? ペット? いや、スライムって魔物でしょ?
いや、正確には魔法生物だけど……。
あっ、でも、魔法生物も略したら魔物だ。
とにかく、魔物なんかをペットにするとか、寝てる間に殺されそうなんだけど……。
ちなみに、マリアは静かにしてるけど、ただミリアの介護してて、会話に参加したくても、できないだけかな。
その証拠に、さっきから残念そうに、「私も喋るスライムとお話してみたいですね」と、つぶやいている。
「マギア、やっていいよ」
私がそう言うと、なんかの魔法の呪文を唱え始める。
なんの呪文かは全然わからないけど。
「ちょっ、ちょっと待て! 俺は普通に役に立つ! それに、話せるようになるのに、めっちゃ時間かかったんだよ!
頼む、殺さないでくれ!」
と、スライムは慌てたように、そんなことを言い出した。
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