みんなで冒険に行きませんか? 2

 私とマギアが待ち合わせの場所に行くと、すでにマリアとミリアがいた。


「ふふふ、本当に二人は仲良しなんですね」


「まあ、仲はいいけど、そこまでじゃないからね? さっきも言ったけど、私に、そっち関係の趣味とか、ないからね?」


 いや、マジでそういうのじゃないから。

 と、とりあえずマリアには言っておく。

 で、「なんのこと?」とかわいく首を傾げながら、そんなことをつぶやくミリアちゃんには、「なんでもないからね~。気にしちゃだめだよ?」と言っておいた。

 というか、こんなに純粋な子を汚すわけにはいかない。

 いや、そういった知識を与えてはいけない。

 一人で勝手に、絶対にこの子は守ろうと思ってると、


「それじゃ、行くわよ! これから、私たちの冒険が始まるのね!」


 と、一番やる気のあるマギアがそう言った。

 けど、そんなマギアのやる気のある声に、水をさすかのように、マリアがこう言った。


「でも、どこへ行くつもりなんですか?」


 いや、その疑問は普通なんどけども……。

 まだ話してないから。

 だから、私は一枚の地図を取り出し、それを広げ指で指しながら、


「それはね。この地図の、この大きな街に行こうと思ってるよ」


 私はそう言った。

 この世界の文字って、なんて書いてあるのか読めるのと読めないのがあるんだよね。

 マギアの家にあった地図に書いてある文字は、全然読めなかった。


「ああ、中央都市に行くんですね」


「中央都市? えっと、そのでかい街の名前?」


「そうですけど、知らなかったんですか? それとも、読めなかったんですか?」


「両方だよ……」


 なるほど、これで中央都市と読むんだ……。

 いや、全然覚えられる気がしないけどさ。

 というか、私、勉強とか嫌いだから、全くできなかったほうだから。

 つまり、なにが言いたいのかというと、読めない字を読めるようになるための努力をするなんてことは、一切しようとは思わない。


「それじゃ、私が文字を教えてあげましょうか?」


「いや、別に読めなくていいか──」


「私が文字を教えてあげましょうか?」


「だから、別に読めないままで──」


「私が文字を教えてあげましょうか?」


 その必要がないって、さっきから言ってるんだけど、なんか聞き入れてくれないというより、無理にでも教えようとしてるような……。


「ほら、私が文字を教えてあげますよ?」


「えっと、できればそういうのってやりたくないんだけど、それじゃだめ?」


「ダメ、です♪」


「えっと、それじゃ、お願いします」


 なんか、怖い。

 断ったら殺されそうな感じだったんですけど。

 溢れんばかりの殺気が、私を襲ってたんですけど!

 まあ、そんなわけで、仕方なく教えてもらうことになった。

 できれば嫌だったんだけどな。

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