みんなで冒険に行きませんか?

「えっと、メンバーも集まったわけだし、そろそろ冒険に行きたいと思うんだけど、どう?」


「私は構いませんよ? それに、私は聖職者ペスターですから」


「あの、私は行きたいです」


「ふふふ、こんなのって、まさに夢みたいだわ」


 私はこれが夢であってほしいけどね。


「行くのは構いませんけど、どこに行くんですか?」


「それなんだけど、この村から出たいな~って」


「この村を出るの? 私たちは構いませんよ?」


「私は、その、シズが行きたい場所なら、どこへでもついて行くわ」


「あら~、やっぱり、あなた達はそういう関係なんですね」


「お姉ちゃん、そういう関係ってなに?」


「あの子たちは百合なんですよ〜」


「違うよ! 全然そういう趣味はないよ!」


「そ、そうよ! まあ、私は別に、それでも構わないけど……」


 構えよ! ちょっとは気にしてよ!


「あら、マギアさんの方は満更でもない様子ですね~」


「あの、お姉ちゃん。その、百合ってなに?」


「それはね、女の子が──」


「ミリアちゃんはまだ知らなくていいから! ね、マリア?」


「そ、そうかも知れませんね~」


 こんなにかわいくて、小さい女の子に、あんなことを教えようとするなんて、絶対にだめ!

 マリアは一人で、「シズクさんはそっちの趣味もあるんですね~」とつぶやいていた。

 マリアがなにを言いたいのかはわからない。けど、あえて、あえて言っておくけど、私はロリコンじゃないからね?


「えっと、それじゃ、必要なものが揃ったらここに来て」


「なんだか遠足行く前みたいですね~」


「私、とっても楽しみ!」


「わかったわ」


 この村から出るって言ったときは、反対されると思ったけど、よかった。

 少し、肩の荷が下りた気分。


「それじゃ、また後でね」


 そう言って、一度私たちは別れる。



「はあ~、どうしよう」


 あのあと、別れてから私は暇を持て余していた。

 てか、当たり前じゃん!

 この村に来たのだってはじめてなんだから、することなんてあるわけがない。

 それどころか、お金もないからなにも買えないし、本当にやることがない。

 と、仕方ないので、マギアの家に行くことにした。



 丁度、外にいたマギアのお母さんと少し談笑をした後、家の中に入る許可をもらう。


「マギアー、いる?」


「えっ! なに? て、シズ……!? どうして、ここにいるの?」


 マギアに、当然の疑問を投げかけられる。

 まあ、その反応が普通だよね。

 だって、さっき別れて、それぞれの準備をしようという話になったんだから。


「いや、ええとね。その、私、やることないから暇だったんだよね」


「はあ……? まあ、そういうことなら、私の準備を手伝ってくれる?」


「わかった。それじゃ、私はなにをすればいい?」


「そうね、それじゃ──」


 そうして、あまりにも暇だった私は、マギアの準備の手伝いをすることになった。

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