あなたも、私の仲間《パーティー》になりませんか……?6

「そんなの、信じられるわけ──」


「本当に信じられない?」


「それは──」


「私は、記憶がない。だから、知りたいの。だから、教えてよ! この世界のことも、マギアのことも……!」


「私は、他のみんなから避けられてて──」


「それがどうしたの? 私は、マギアのことだって知らないし、なんで避けられてるかだってわからない。だから、私はマギアのことが知りたい! それで、本当のことを知りたい!」


 そこで、彼女は黙り込んでしまう。

 しばらく沈黙が続いたあと、マギアはこう言った。


「それじゃ、教えてあげる。私のこと全部。私が知ってること全部」


 そうして、静かに話しだした。


「まず、私が避けられてる理由。それは、私が特殊魔法オリジナルが使えるから。昔から、私の住んでる村では、ある言い伝えがあるの。特殊魔法が使える魔法使い《ウィザード》は、魔女の継承者というやつがね。魔女ってのは、基本的に魔法の超越者で、厄災の象徴なのよ。だから、この村では、特殊魔法が使えるって者は、魔女の継承者だって言われてるわ。だから、みんな、私のことを怖がって近寄って来ない」


 そんな風に話しているマギアは、どこか寂しそうだった。

 そして、悲しそうで、辛そうだった。


「でも、そんなある日、私にも仲間ができた。それで、私はあるダンジョンに行ったわ。そこで、私はその仲間たちに殺されかけた。そして、そのあと私は知ったの。仲間になったのは、私を殺すためだったんだって。たから、私は人のことを信じられなくなった」


 マギアの背負っていた辛い過去を聞いて、私はそれを理解してあげることができなかった。

 実際に体験したことがないから。

 それでも──。


「ね……? シズだって、ここまで聞いたらやっぱり怖いでしょ……? 私のこと、嫌いになったでしょ……?」


 私は、マギアとの短い、本当に短い、会ってからのことを思い出す。

 かわいいくて、優しくて、それでいて、どこか偉そうで。

 私が会ってから、マギアが怖いだなんて思ったことは一度もなかった。

 だから、私がマギアを嫌いになる理由なんて、全くない。

 だって、実際にマギアを見てきたから。

 マギアと一緒にいたから。


 だから、


「マギア、私は、そんなこと思わないよ」


「えっ……?」


「私はマギアのことを、怖いなんて思わない! だから、嫌いにもならない!」


「私と一緒にいると、シズもそんな風な目で見られるわよ?」


「覚悟のうえだよ!」


「私、魔女の娘とか、魔女の生き残りとか言われてるのよ?」


「かっこいいじゃん!」


「私、友達なんて初めてできたから、どうしたらいいのかわからないよ?」


「そんなの、私も同じだよ!」


「本当に、いいの……? 私、シズのこと、信じるわよ? そして、一生まとわりつくわよ?」


「いいよ。私は絶対に裏切らないって、マギアと一緒にいるって、約束する!」


「本当に……?」


「本当に。だからさ、マギア。私の仲間パーティーに、なりませんか?」


「本当、もの好きもいたものね」


 そのときの彼女は、嬉しさから涙を溢していた。

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