あなたも、勇者になりませんか? 5

「それで、なんでそんなこと聞いたの?」


 あっ、どうしよう。

 そこんこと、考えてなかった。


「えっと、その、えっと──」


「もしかして、そういうこともちゃんと知ってるか、私のことを試したの……? 私がパートナーとして足る存在か」


「えっ……? あっ、そうそう! そういうことだよ!」


 彼女が勝手に納得してくれたので、それに乗っかっておくことにする。


「ふっふ~ん……! やっぱりね! まあ、魔法使い《ウィザード》は、かなり希少ではあるけど、ちゃんと知識がなきゃダメよね。あんたって、勇者のくせにちゃんと考えてるのね」


「あのさ、一つだけ聞きたいことがあるんだけど、いい……?」


 私は今まで気になっていたことを聞きたくて、そう聞く。


「うん……? なんでもいいわよ」


「勇者って、今どんな感じなの?」


「う〜ん……? まあ、簡単に説明するなら、最弱職ってところね。基本的に、誰でもなれる役職なわけだし」


「わざわざ勇者になる人って、今どきは──」


「いないわね、基本的には。でも、勇者って他の役職全ての力を一応もってるから、ごくたまにいないこともないわ」


 彼女が言うには、それぞれの役職の最弱の力が使えるとのこと。

 もちろん、最初から使えるわけじゃなくて、レベルをあげる必要があるんだそうだけど。


「あっ、言うの忘れてたけど、私が使えるのは攻撃魔法であって、回復魔法は一切使えないわ」


「それじゃ、回復魔法を使えるのは?」


聖職者ペスターと、一応、勇者も使えるわ」


「えっと、それで、私のパーティーに、なって、くれる……?」


「何言ってんの……? さっき、そう言ったじゃない!」


 そうして、マギアは私の仲間になった。


「それじゃ、冒険者カードを見せてくれるかしら? あっ、もちろん、わたしのも見せるわ」


 私は、彼女に言われるがまま、冒険者カードを差し出し、彼女の冒険者カードを受け取る。


Magia Yutoria    役職:魔法使い《ウィザード》


レベル:13


攻撃力:11  防御力:9

魔力:87  魔攻:23

魔防:17   速度:12

幸運:5   特殊魔法オリジナル冷炎コールドフレア


「あんたって、レベル1なのね。まあ、いいわ」


「あのさ、特殊魔法オリジナルってなに……?」


 私は、マギアの冒険者カードにかかれた、一つの魔法が気になり、聞く。


「うん……? ああ、魔法使いの中でも、稀にしか使える人がいない魔法のことね。わかりやすく言うのであれば、私の専用魔法といったところかしら」


 専用魔法。

 なんか、かっこいいな。

 というか、その魔法が使えるってことは、この魔法使い、相当凄い魔法使いなのでは?

 でも、なんでそんな魔法使いさんが、私なんかの仲間になってくれたんだろう……。

 疑問は増えるが、気にしないことにする。


「さっき、大スライムから逃げる前にも使ったけど、私の特殊魔法オリジナルは、炎なのにとても冷たいって魔法なのよ。で、スライムってのは、ほとんどが水でできてるの」


 この世界では、スライムはほとんど水でできてるのか。


「それは、大スライムも例外じゃないわ。だから、冷やせば簡単に凍りつく。まあ、倒せはしないんだけどね」


 マギアは、自分の特殊魔法オリジナルについて、そう教えてくれた。

 あのとき、大スライムが凍っていたのも納得がいく。

 ただ、やっぱり、なんで仲間になってくれたのかは、わからなかった。

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