あなたも、勇者になりませんか? 3

 そして、鞄の中をあさってると、さっき、彼女が見せてくれた冒険者カードなるものと同じものをみつける。

 そこには、


Sizuku Amemiya    役職:勇者  


レベル:1


攻撃力:7  防御力:4

魔力:30  魔攻:5

魔防:6   速度:8

幸運:3


 私の各種ステータスが載っていた。

 てか、あったー!

 私の冒険者カード、まさかの鞄の中にあった!

 というか、鞄なんて私、持ってなかったと思うんだけど……。まあ、いっか。

 そこで、私は冒険者カードをもう一度しっかりと確認する。

 てか、えーー!

 私の役職、勇者! えっ、勇者ー!

 どういう、こと? てか、役職選択とか、私はしてないよ?

 でも、まさか勇者になるなんて…………最高ー!


「なんだ、あんたも冒険者なのね。て、あんた勇者じゃない」


 えっ? なに、その反応。

 勇者だよ? 魔王を倒す役の、勇者だよ?


「勇者って、魔王を倒すんじゃないの?」 


「はっ? あんた何年前の話をしてるのよ。勇者なんて、誰でもなれる役職でしょ?」


 誰でも、なれる? どういう、こと?

 てか、いい加減ログアウトしないとやばい。


「あの、このゲームって、どうやってやめればいいんですか?」


「はっ? げーむ? なによそれ……。そうだ! 私があなたのパーティーになってあげるわ」


 えっ? ゲームが、わからない?

 この感じ、絶対NPCじゃないし……。

 えっ? どういう、ことなの? 私は、ゲームを始めたはず。

 それなら、ゲームをやめれば終わるはず。

 でも、そのやめる方法がわからない。


「うそっ……! あの大きさ……。 なんで、こんなところに、大スライムなんてものがでるのよ!」


 大スライム?

 スライムってついてるわけだし、そこまで強くないでしょ。

 それなのに、なんで慌ててるんだろう。

 それより、今はゲームをやめる方法を──。


「あんた、死ぬわよ!」


「えっ? スライムがでたって……」


「いや、そんな雑魚じゃないわよ! 大スライムよ!」


「ただ、スライムが大きくなっただけじゃ──」


「はっ? あんた、さっきからよくわからないこと言ってるけど、大スライムはスライムとは全然違うわよ! 並みの冒険者でも、ほとんどが返り討ちに合うほど強いのよ?」


 彼女は、こんなの常識でしょ? という感じでそう言ってくる。

 てか、よく考えたら、死んだらゲームをやめられるんじゃない?

 そう思った私は、その大スライムというモンスターのもとまで行こうとする。

 けど、彼女に肩を掴まれた。


「あんた死にたいの!」


「いや、死んだらゲームをやめられると思ったんだけど……」


「げーむがなにかはわからないけど、死んだらげーむ? じゃなくて人生が終わるわよ……! それより、あんたはレベル1みたいだし、早く逃げなさい! 私は、できるだけあいつを止めてみるから」


 そう言って、魔法使い《ウィザード》らしく、何かの呪文を唱え始めた。

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