一章 異世界で勇者《最弱職》になりました。

あなたも、勇者になりませんか?

 私、雨宮雫あめみやしずくは、今をときめく女子高生JK……ではなく、オタク全開の女子高生JK

 趣味は読者。内容はもちろんラノベかマンガ。それとゲーム。

 日課は中古のゲームソフト探し。

 学校では地味で、友達と言える人なんて一人や二人しかいない、完璧な陰キャ。

 で、そんな私は日課の中古のゲームソフト探しをしていた。

 そんなときに一つのVRゲームのソフトが目に付いた。

 そのゲームソフトのタイトルは


『あなたも勇者になりませんか?』


 というもの。

 タイトルを見ただけで、MMORPGだとわかる。

 日課でそういうことをしてるから、タイトルだけでもわかるのだ……!

 そして、私はそのゲームソフトが気になり、買うことにする。

 値段は思ってたよりも安くて、2200円。

 陽キャと違って、普段からタピオカミルクティーとか飲まないから、貯めようと思えば貯められる額。

 そんなわけで、躊躇いもなく買える値段だった。

 そんなわけで、私はうきうきしながら家に帰った。

 家に帰ると、お母さんに「ゲームばかりしてないで、たまには勉強しなさいよ」とそんなことを言われたけど、私はそれを華麗にスルーし、自分の部屋に行く。


「えっと、これはここで、と……」


 なれた手付きで、買ってきたVRゲームをするための準備を整えていく。


「それじゃ、今日もやりますか!」


 私は、私以外誰もいない部屋に、いつもの言葉をつぶやくと、本体を起動した。

 そこで私の意識は途切れた。



 次、私の意識が戻ったときには、VR空間が広がっていた。


「えっと、なになに……このゲームはキャラメイキングができるんだ」


 VR空間で、指示された通りに設定を進めていく。

 ただ、キャラメイキングできることに、ちょっとした驚きを感じながら、よしっ! とガッツポーズをする。



 キャラメイキングをすること、約3時間。

 別に、全然長くないから!

 これは、ゲーマーならみんなそうだから!

 あ・た・り・ま・え、のことだから!


「完璧っ……! 我ながらかわいいのができてしまった」


 満足いくものが完成した。

 残念なことに、私とは似ても似つかない顔だけど……。

 というか、真反対。そして、ただの私の理想っ……。ぐぬぬ......。


「これで、やっとゲームが始められるー!」


 ちょっとした達成感を感じながら、ゲームを始めるを押す。

 次の瞬間、光に包まれた。



 そして次の瞬間私が立っていたのは、緑の大地だった。


「ここが、ゲームの世界っ……! 最高ー!」


 私は思わず叫んでしまっていた。

 てか、仕方ないよ。

 だって、ゲームの世界なんだよ? ゲームの世界なんだよ!

 それに、ゲーマーならみんなやることだからさ!


 それにしてもこのゲーム、私がやってきたどのゲームよりも現実的リアルだな。

 いや、VRゲームだから現実的なのは当たり前なんだけど、私が今までやってきたどのゲームよりも遥かに現実的リアルなの!

 まあ、それだけこのゲームが高性能だってことなのかね。

 全然他のプレイヤーがみつからないけど、まあ街じゃないし。

 というか、街でもなんでもない場所にずっといたりしないし。

 そんなとき、強い風が吹く。それを私は涼しいと感じる。

 他にも集中してみれば、たくさんの匂い、感触を感じる。

 他のゲームではこんなことなかったな~、と、漠然と、私はそう思った。

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