エピローグ




「由紀、これ買ってきたよ。チ◯コガハエール」

「うん、ありがとう。じゃあ早速わたしが――」

「えっ? 由紀は私のお嫁さんなんだから、飲むのは旦那様である私じゃない?」

「はへ?」

「じゃあ由紀の処女、貰いまーすっ!!」

「ぎゃああああああああっ!!!!」



 こんなはずじゃなかったのにぃいいいっ!!





 ◆





 悪夢を見た。

 ギンギンになった巨大ち◯ぽを生やした白菜に朝まで犯されるという悪夢を……。

 寝起きはいつも以上に最悪だった。

 でもどうしてそんな夢を見てしまったのだろうか?

 わたしには巨大ち◯ぽで犯されたいという願望はない。



「…………」



 考えてもわからないし、取り敢えず巨大ち◯ぽのことは置いておこう。

 ……それにしてもさっきから身体が妙に重たいような――――



「――貴様か、退けっ」



 わたしに覆い被さってすやすやと寝ている白菜をペイッと布団から追い出す。

 わたしがあんな悪夢を見たのは、白菜の体制が巨大ち◯ぽで犯している姿勢と似ていたせいか。

 まったく……毎晩エッチなことしてる仲だからって言っても、やって良いことといけないことがあるんだぞ。



「それにしても、どんな寝相してるの……」



 昔から白菜の寝相は悪かったが、まさか中学生になってもそのままだとは思わなかった。

 だって中学生にもなれば、普通は直るって思うじゃん!

 ……ハッ!? 白菜が中学生だと!?



「まさか……反抗期ッ!?」



 流石にわたしにまで反抗はしないよね?

 白菜に見限られたりしたら、わたしの存在価値が無くなるんだけど!? 



「白菜、わたしに反抗しないよね!?」

「んぁ……っ?」




 ◆




 中学生になったからと言って、生活が一変するなんてことはない。

 今まで通りお母さんや優菜さん、みこたちと一緒に暮らして毎夜のように白菜に身を預けている。

 変わったことと言えば、中学生に進級した白菜とみこが制服を着るようになったことと、白菜が今度結婚式を挙げようとプロポーズしてきたことぐらいだ。


 ……いや、後半は意外と大事なことだったな。だが過ぎたことは仕方ない。アレはわたしと白菜だけの秘密だ。



「よしっ、学校行くよ由紀!」

「うん!」



 中学の制服を着て指定の鞄を持った白菜が呼び掛ける。

 中学校は小学校の校舎よりも遠い予定だったが、場所もそんなに変わらない上、生徒だって白菜とみこの二人しか居ない。それなら別にそのままで良いじゃないかということで校舎が変わっていない。

 もちろん担任も変わっていない。他に学生がいないため、先生はこの田舎に住むたった一人の教師となってしまったけど。



「……そういえばみこは?」

「さあ? 見掛けなかったから、先に行っちゃったんじゃない?」



 玄関を出てから気付いたわたしが白菜に訊くと、白菜もわからないと答えた。

 わたしもよくわからないから、首を傾げていたのだが、その理由はすぐにわかった――――。



「……そういえば今日は土曜日だったね」

「…………」



 何をやってるんだコイツは。

 まあ、気付かなかったわたしもわたしだけどさ。



「ねぇ、由紀」

「ん?」

「これね、由紀のお父さんから結婚祝いだって貰ったんだけど――」



 そう言って白菜が鞄から取り出してきたのは、夢で見たあの伝説の薬品、『チ◯コガハエール』だった。

 正直、「お父さんなにやってくれてんの!?」とか叫びたい気持ちだったけど、ぐっと堪えた。



「――なんで距離取ってるの?」

「い、いや? なんでもないよ……」

「嘘。なんかあるんでしょ?」

「ちょっと予知夢を見ただけだから……」

「そっか! じゃあこれの効能も知ってるよね!」

「白菜ちょっと待っ――!」



 わたしが止めようとしたときには既に手遅れで、白菜は瓶に入った液体を飲み干してしまった。



 むくり。



「…………」



 白菜の短いスカートが何処からか現れた謎の棒によって翻る。そのあまりの超常現象にわたしは絶句する。


 正直に言おう。夢で見たときよりも大きかった。

 あんなのを挿入されたら一溜りもないのは目に見えている。



「昼間の屋外だけど、由紀は野外プレイ大好きだから初めてでも問題ないよね?」

「問題しかないけど!? わたしが裂けちゃうよ!? 物理的に!」

「大丈夫だよ。由紀は雪で出来てるんだから、すぐに馴れるよ」



 そんな巨大ち◯ぽを挿入されることには馴れたくない……!

 ここは勇気ある撤退だッ!!



「はい、掴まえた!」

「…………」



 逃げようとした瞬間にわたしは白菜に腰を掴まれ、持ち上げられた。

 白菜からは逃げられなかったよ……まるで行動が読まれてたみたいに掴まえられたよ……。



「幼馴染みで私のお嫁さんだからね。由紀の考えてることぐらい手に取るようにわかるよ」

「むぅ……」



 白菜め、やりおるな……!



「ところで由紀さんや」

「なんだい白菜さん」

「由紀さんは今、下着を穿いてないよね?」

「…………」



 …………まさか。

 わたしが冷や汗をダラダラと流しながら静止して沈黙していると、白菜がニヤリと気味の悪い笑みを浮かべた。



「そのまさかだよ、じゃあこのまま降ろすね?」

「それはやめて!」

「……まったく、冗談だよ」



 なんだよ、脅かすなよ……わたしの初めてが昼間っから野外で奪われるって思ったじゃないか。



「ちゃんと濡らしてからするよ」



 …………ほへ?



「ぎぃやぁぁぁぁああああああっ!!!」






 わたしの初めてはふたなり白菜によって白昼堂々野外で奪われました。

 死ぬかと思ったけど、意外と気持ち良かったです。まる。





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『逆行転生した俺、なぜか雪娘になっていました』はこれで完結になります。

 最後までご愛読頂き、ありがとうございました。また何処かでお会いしましょう。



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逆行転生した俺、なぜか雪娘になっていました。 名月ふゆき @fukiyukinosita

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