赤いゼラニウム「君有りて幸福」
窓から太陽の光が優しく流れ込む。ガラス窓の向こうには透き通った青空が広がっている。二人がけのソファーが午後のゆっくりと流れる時間を受け止める。ローテーブルの上にはマグカップに淹れられたコーヒーが二つ。薬指に指輪をした私の左手には、君の右手が重ねられている。
体重を左にかける。君のぬくもりがさっきよりもしっかりと感じられる。
「どうしたの」
君が優しい声で聞く。その声は何よりも安心できる声で、まるでコーヒーに落とした砂糖みたいにじんわりと私の中に溶けていく。
「私今、とっても幸せだなって感じていたの」
君の視線と私の視線が交差する。吸い込まれるような君の黒い瞳の中に私が映り込む。
「僕もだよ」
そう言って君が笑う。
永遠という言葉が指し示すことが、君と過ごす時間のことでありますように。
だって、君さえいれば他に何もいらない。君がいれば私は幸せだから。
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