君からの手紙
大右敏久様
私があなたを知ったのは、中学生の時。君は、バスケの県大会に出ていました。あんな小さいチームを1人で引っ張っていく姿に、私は心を打たれました。
君は私の憧れでした。
そんな君が、普通の高校を受ける、という情報を聞いて、真っ先に同じ高校を私も選びました。
でも。
いざ同じ高校になってみると、君はバスケを辞めちゃうし、コミュ障だし...、性格ひねくれてるし...、友達いないし...で、結構とんでもないやつだったということがわかりました。
過去に私の心を打っておいて、ひどいやつです。
LINE追加しようとしたら、惚れさせようとしてるだの、生産性がないだので、色々言ってきて。
私が思っていた性格と全然違って。
でもそれがなんかちょっとうれしくて...。
話してみたら普通に面白いし、声は思った以上に低くて男らしかった。
そんな君が、急に私に告白してきたのが、嬉しくって、そして、悲しかった...。
なんであんなバカみたいなタイミングで告白してくるの?おかげでその日の夜はずっと泣きっぱなしだった...。
でもさ、君。流石に私のこと、好きすぎじゃない?全部の手紙で好き好き書いてきて、さすがにちょっとキモかったから...。
そして、この前の手紙では、去年の夏の話もしてくれたね。
たまに私の浴衣姿の写真、未だに眺めてるでしょ?
アホ。変態。ハレンチ野郎。
君は本当にひどいやつです。
でも...。
私は。
そんな君が、
大好きでした...。
手紙を送ってきてくれたのも君だけでした...。
そんな温もりに溢れたものを、毎週送ってくるとか、本当にどうかしてます...。
君は毎回過去の思い出話をしてきて。
そして毎回...
私を泣かせて...。
忘れられないことが、くだらないことばっかりっていうのは、やっぱり変かな?
変だよね。
でも。
そんな、くだらないなことで、私は涙を堪えきれなかった...。
本当に、君との付き合いは、謎だらけでした。
でも最高に楽しかった。
もしかすると、君はそうじゃなかったりするかな?
そしたら結構ショックだな...。
でも少なくとも。
わたしは。
まだ君と一緒にいたかった...。
受験が終わって、コロナもおさまったら、どっか2人で遠いところにも、行ってみたかったな...。
あぁ...。
でもやっぱり...。
死にたく...なかったな...。
ただ。
これがわたしの運命だった...。
そして。
君にはこれからがある。
その中で、少しでも君の心の中に、わたしがいてくれたら、ちょっと嬉しい...。
今まで、本当に楽しかった...。
本当に...楽しかったよ...。
ありがとう......。
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