第13話 退屈
いかにセックスが好きでも、一日中というのは新婚夫婦くらいだろう。いい加減、疲れる。
由香里は大学院の心理学科を卒業し、臨床心理士の資格を持っている。美術部で絵もやっていたらしい。唐突に、由香里が言った。
「ボディ・ペインティングをやりませんか?」
なんでも、ニューヨークではボディーペインティングのお祭りがあり、オールヌードもOKらしい。
「私、二人に絵を描きたいの。ダメ?」
断る理由が見つからない。二人が無言でいると、由香里は鞄からスマホを取り出し、画材商に電話をしていた。
「ボディーペインティング用の絵の具と、筆、一色、周辺道具一式を至急届けてください」
ヤル気だ。由香里は早速ハイボールを飲んでいる。
「そうだ。私の絵も飾りたいわ。リビングのペルシャ絨毯に合わせて」
由香里がどんな絵を描くのか。俺は興味深かった。
「美香子さんは、何が得意なの?」
「そんな、私には得意などありません」
「そうか、奥ゆかしさが得意なのね」
美香子さんは、困った苦笑いを浮かべた。
「美香子さん、お昼は何?」
「スパゲティにしようかと思っておりますが・・・」
「いいわね。絶対ミートソースよ。松の実はある。パルミジャーノはたくさんある?」
「わかりました、奥様」
「あ、その、奥様というのやめてくれる。慎一はただのおもちゃだし、私は独身だし、由香里様って、呼んでちょうだい」
「わかりました、由香里様」
「OK」
由香里に、おもちゃと言われて、俺は嬉しかった。M性が出た。
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