第11話 翌日の朝

シェフは解雇され、玲子は、いつの間にか帰っていた。

残ったのは、由香里と私と中島さんと家政婦さん。シェフがいないので家政婦さんが朝食を作る。

由香里が細かく指示を出す。

「そうね、今日のコーヒーはキリマンジェロ。タマゴはスクランブルで。トリュフを入れてね。それとサラダ。サラダはお任せね。スープはポタージュ。ソーセージはボイルして。そんな感じ」

「はい、お嬢様」

なお、裸族なので4人とも裸である。由香里は下の毛が長く、それが何とも美しい。

「美味しい」コーヒーを口にして、由香里は言った。

「いい家政婦さんで良かったね」俺は言った。

「ありがとうございます」家政婦さんは丁寧に頭を下げた。

「家政婦さんじゃ可哀想よ。美香子さんて呼びましょう。慎ちゃん」

慎ちゃん? 俺の名前は慎一だ。だから慎ちゃんか。みんなさん付けで、俺だけちゃんか。ま、いいか。冷静になれ。おれはポチだと思え。

「由香里さん。俺、慎ちゃんじゃなくて、ポチじゃだめかな」

由香里は口を大きくあけて深呼吸した。

「いいわよ。ポチで。美香子さんもポチって呼んであげて」

「ポチ」美香子さんがそう言うと、俺は「ワン」と鳴いた

笑いの渦が起きるかとおもったら、二人は凍りついたようだった。

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