第11話 変わる世界



「これ、どーんすんだよぉー!」



アキオは、純菜と初音に、体を弄ばれたあげく放置されていた。


まあ、二人には、それぞれの事情は有るにせよ。



「ちょっとは、僕の事も考えろよ~」


でも気持ちええかったなぁ、あひゃひゃ・・



アキオは、男の悦びと疲れと絶望とを感じながら途方に暮れていた。


ココから動けない・・




まさに地縛霊になった気分だった。


いや、リアル地縛霊だ。




◆◇




「どうしました?お困りですか?まだ、お体は、死んでないですよね。」



知らぬ間に、アキオの横に、まるで気配無く寄り添った和装の男が言う。



「自分の体に戻れなくて困ってるんです!助けてください。」



「またまたぁ。何の御冗談ですか?ここは、修行しても、なかなか来れる領域ではないんですけれどね・・ひょっとして、あっしの事バカにしているんですか・・」



「バカになんてしてるわけないじゃん。もーどすんだよ~帰りたいよ~」



「あ、あのお。お体は、どちらに・・」



「たぶん、病院に運ばれました。救急車で・・」



「はあ、なるほどーなるほどー。そうなると、あなた・・事故ですね。」



「えっとぉー。まあ、そんなところかもです。」



「じゃあ、あっし。ちょっくら病院まで行ってあなたのお体みてきますよ。」



「ああ、いいんですか?どうも、ありがとうございます。」



「ああ、礼なんて・・。あっし、地縛霊とか迷い霊を助ける為にね。これやってますから・・あ、貴方は、まだかろうじて・・つながってますけどね。まあ、もしもの時は、あっしが、三途の川あたりまでならお送りしますよ。」




「三途の川?かろうじて・・つながる・・は!僕やばいの!!」



「ではではー、いってきまーす。あははー」



「はやく帰ってきて下さいねー」



「わっかりましたあぁ~」





■■





「はーい。今、戻りました。早かったでしょ」



「あ、はい。で、どうでし・・た?」



「大変申しあげ難いのですが・・」



「えっ。な、なんだよ~。」



「貴方は、ですね・・もうすぐ・・・」



「いいから、早く言って」



「もうすぐ」



「ま、まさか死ぬとか・・」



「もうすぐ・・お薬が切れて自然にお体に帰れますよ。」



「へ、ほんとに?なんだーそうなのね。そうだと思ったわ!」



「そうです。しかし、ドラックなんてやってる人がまだ居たとは・・辛いことが有るでしょう。しかし、この時代に超珍しいですな。また現世で、どうしても辛くて我慢できなくなったらココにきなさい。相談に乗りましょう。ではまた。」



そう言って、和風の名刺を貰った。



「なになに?福井県、永平寺。親元和尚」



「ふざけるなぁぁ。・・て、世界が廻るうううううぅ」


きたあああああー。うわああああああー。


薬キレたあああ~




◇◇




「ひぃ!!」


なにこれ?


昏睡状態からのめざめかたじゃあねえな。



「あ、おにいちゃん」


「章夫、気がついたのね。」



「はあ、はあ、かあさーん。初音え~。ただいまー」



「よかった~」



ふたりは、僕に飛びついて喜んでくれた。でも、本当に、この世界が無くならなくて良かった。でも、とっさに思いついたアストラルレベルでの情報の受け渡し方は、なんだったんだろう・・まあ、気持ち良かったからいいや。




トン・トン


ガチャ



「こんにちは。」



「あ、あれれ?純菜もうこっちで実体化できるの?」



「あ~。純菜ねえさまだぁ」



「光帝陛下!!」




「はひ?」


「お母さん、知り合い?」


「光帝へーか?」



「そうよ。陛下は、20年前に、私に章夫を育てる任を与えてくれた人よ」



「ちょっと、恭っ、いや、アキオ君、中央コンピューターにアクセスしてみてよ。」



「ああ、うん。じゃあやるよ」




Goddess:JUNA接続 ON


「あ、あれ?」




「えへへ。あたし、ちょ~っと歴史を変えちゃたみたいね。」



「なになに~。どうしたの?」



「え、いや。初音、この星のセントラルコンピュータの名前は?」



「JUNAよ。てっ、おにいちゃん、もしかして純菜ねえさまが、もしかして~」



「そうだよっ、JUNAだ。」



「へ~どうなってるの?あの、でっかい機械みたいなのが、純菜ねえさまなの~」



「ははは、純菜ぁ。スペックどうなった?」



「えーっとねぇ。フォトニクス回路の時の∞倍かな? うん、そうよ∞倍」



「はひ?それJUNAジョーク?」



「いや、実際にそうなのよ。CPUは、あたしのままなんだけれどね・・グラビトンで並行次元全てに貫いてるから以前のJUNAx∞個でマルチに動けるの・・」



「もう、何が何だか分がんね~。もういわ、とにかくすんげーんだな。」



「えーっとね。実は、あたし・・神様にも会ってきたんだよ。それでね、この銀河の中心にあるAMIDAって上位次元のコンピュータの管理権も貰ってきたんだよ。」




「阿弥陀とか・・」


「もう、何でもいいや~」




「だから、あの、一応あたしも・・えと、あの、その・・はあ。」


「あ、あたし、いま女神なんだ!!現役のね。」



純菜ねえさまが、


女神さま、本物の、


「ねえさまぁ。初音のおっぱいをEカップにして下さい!おねがいです。」



「バカ初音、んな事できるわけね~だろよ」



「いいわ。初音ちゃん、できるよ。」



「やたー。わーいわーい。」



やば、初音が、また大人になってしまう・・


「はあ。初音は、その小さいのが、チャームポイントじゃないのかな~」



「も~おにいちゃん、ばか、へんたい!ロリコン」



「かたちも選べるよ。こんなの良いんじゃない?」



「わああ、それ、うち好き。すっごく、えっちくていいね。」



「おかあさんは、こっちがいいと思うわ」



「ふむふむ」



ベットで点滴を受ける僕をしり目に、女子たちは、少し離れたリビングで楽しそうに初音のおっぱいの件で盛り上がり出してやがる・・


話に、入れてもらえない僕は、すこしムッとしてお布団の羽毛をむしり取って女子たちの方に、思いっきり全部ばらまいてやった。


「おりゃああああ」



「きゃっ。」


「うわ~、きれ~。雪みたいだぁ。うち今年は、スノボにいきたいなぁ」


「その前に、みんなで一緒に海行こうよ~」


「そうね、せっかくの夏だしね。」




舞い散る雪のような羽毛を、


彼女たちは、


白い足でけちらして、ふりかえって、笑ってみせた。




2221年夏。


この世界は、とても平和で美しく、誰もが幸せでいれられる


夢のような世界だった。



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