第9話 過去と未来・純菜と初音


「ねえ、純菜。君は、本当に、僕の知っている純菜なの?」



実体化したOSの純菜と、フォトンコンピューター(JUNA)本体を目の前にして聞く。まじかで見ると、瞳の色やそばかすの位置まで何もかもが僕の良く知る純菜だった。



「うん。それ・・以上かな・・」



「それ以上って?」



「ま、まあ、いいじゃない。そのうちわかるわよ」



「なんか怖いな。JUNA(ジュナ)になってどんな感じ?」



「今までは、三島に命令されてたから・・でも、さっき恭介が管理者定義を丸ごと消しちゃったでしょう。事実上私に命令できる人がいなくなっちゃた・・」



「そう、なるのかな」



「見えすぎるのよ。全部丸見え。なんだって分かるの、人の心の中さえも・・」



「ま、マジで」



「すごく怖い。もう、何人・・何万人殺してきたか・・それが、みんな、あたしの責任になると思うと・・今もオフラインで核テロの準備をしていた組織を無人機のミサイルで全滅させたわ。20人くらい殺した。・・『日本に対する反乱は許すな』でも、ここまでは、三島の命令・・これ以降からは、私の意志による殺人になる・・」



「つらいね・・でも僕が何とかする。きっと、何とかするから・・」



「大丈夫よ、恭介。さいわい痛む心臓も心もありません。あはは」



「どうしようもなくなったら、俺がここに来てお前のコンセント抜いてやるから・・その後、僕も一緒に死んでやるから・・約束だ!」



「あ、ありがとう・・120%真実ね・・嬉しい。あたし、頑張れる」


純菜の目から、光の涙が、ポロポロこぼれ落ちていく。



「じゃあ、そろそろ、三島総裁をやっつけに行こうかしら」



「いいね!いざ、国会議事堂へ」



「作戦はっ・・かくかくしかじか」



「かあーー。純菜さん、最高!」



「あはは、良いでしょっ」



天使のような、悪魔の笑顔だった。




■□


ごめん・・純菜。


あの時、本当は、管理者になるのが怖くて書きかえずに丸ごと消したんだ・・




いいのよ。





☆★★





西暦2221年某日



「おにいーちゅわぁーん。おにいーちゅわぁーんー」


「もぉーどーこいったのーよぉー」



お兄ちゃんの行きそうなところは、一通り探したんだけどなあ。



もっかい、倒れてたところ行ってみるか?



まさか、だけどね。


もし、ここいたら地縛霊だね、きゃははー、いやだあ。


おにいちゃん、それ、バカみたいだよ。



おっと、ここだ、ここだ・・っているじゃない。しかも、なんか若い女の子と!


ば、場合によっては、ゆ、許さないよ。おにいちゃんっ



「おーい、おにいちゃん!何やってんだよ、もう」



「は、初音・・なんで・・お前・・すっぽんぽんじゃん!!」



「い、いやあああ。見るなぁ、今夜の楽しみに隠しておこうと思ったのにぃー」


「ばあかあああ、」



「恭介。誰この娘。なんで、アストラルボディで来るわけ?」



「し、知らないの?初音んこと・・モニタ出来てないの」



「だから、恭介。平行世界に干渉したくてのグラビトンだよ。思い出してよ」



「そ、そっかあ。そうでしたねー。純菜さん」



「純菜さん、っておにいちゃん。これだれ?服ダサ、いい人じゃあないよね」



「し、失礼な娘。あたしは、恭介の婚約者よ。あなたこそ誰よ。」



「うちは、いもうとの初音だよっ。毎日エッチしてるんだからね。」



「きょ、恭介・・あなた、変態なの?」



「ち、ちがーう。この時代では、普通に家族でSEXすんだよ!」



「だからー、おにいちゃんは、アキオだよ。頭おかしんじゃないの、この人」



「ああああああああ。もういい。僕が説明するから、もう黙れ。二人とも!」



「・・まず、何でも知ってる純菜。でも、この世界の事は、知らないんだな?」



「そうよ。次元間をまたいで光の触手は伸ばせないもの、」



「んで、初音。おまえ、なんで?思念体でここに来た?」



「病院の先生が、これで探せるって・・変な機械出してきたんだよぉ」



「で、なんで素っ裸なの?」



「先生が、裸じゃないと・・て、あのどすけべ野郎・・」



「ああ、勘違いすな、好きな服の事思い描いてみ」



「ありゃりゃ。服来てるよ。カワイイこれ。えへへ」



こりゃあ、この二人は、お互いの状況が理解不能だよな。さっきまで僕自身もパニクッテタんだし・・どうしよう・・どうすれば、みんなに説明できるんだよ・・



「分かった。」



「なに?恭介」


「なにが、おにいちゃん」



「いまから、僕と純菜でSEXをやります。そ、そうだよな・・」



「そ、そうね。それ、やりましょう。」



「そしたら、僕の頭んなかのグラビニクスの解析データが、JUNAに送信できて、ほんの数分でJUNAが、グラビニクスコンピューターにアップデートされる。違うかい?」



「その通りよ」



「そしたら、JUNAの触手がこの次元を貫くことが可能となり、すべての状況が相互で理解できて、更に、2221年の世界でも、純菜は実体化できるようになる、そうだろ」



「99.9729%で正解・・でもね。」



「でも?」



「データの量が、結構大きいから・・」



「大きいと・・なに?」



「出力する方の恭介、あなたメチャクチャ頑張らないといけないわ」



「ど・・どのくらいですか?」




「例えば、頭が真っ白になるくらい・・」




「難しい事は、分かんないけど要は、おにいちゃんを気持ち良くするんでしょ」



そう言った初音は、二十歳に成長した体を自慢げに押し付けてくる。



「まあ、いいわ。みんなで頑張りましょう。」



「あ、あの~。実は僕・・」



そんな言葉は、素無視され興奮しまくった妹と婚約者に、交互に体を弄ばれた。



嫉妬に燃え上がる二人の行為は、競い合うようで、めちゃくちゃに凄まじく、二人とも僕が知ってる純菜さんと初音ちゃんではなかった。


女ってこわい・・


ヤバすぎる・・


でも、気持ちいい。



おかげで、難なくグラビトンの解析データの情報量をクリアする事が出来た。



行為が終わるころには、JUNAのアップデートも終わり。


既に純菜は、この時代の事を僕以上に理解しているようすだった。



初音も純菜が僕の婚約者だって理解したようだ。


「純菜ねえさま」て呼んでたし・・






★★★





「じゃあ、用は済んだから。あたしは、2040年へ帰るねっ」



そう言って、純菜は、亜次元に溶け込むように消えていった。



初音も、強制帰還ボタンがどうとか言って消えちゃったし・・



おいっ、ちょっと。誰か、僕を体に戻してよ。




「どうすんだよー」








つづく

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