第2話 天守閣の大浴場
僕は、大浴場の湯船につかりながら、帰り道での出来事を思いだしていた。
考えれば、考えるほどワクワクしてくるんだ。
あの超古いレトロな自販機・・
それが、なぜか頭から離れない・・
テキサスのテーマパークとかアメリカンカフェでアレに近いレプリカとかは、確かに見たことはある。
でも、今日見たアレは、なにか、そんなものとは、全然違う・・まさに本物?
いや、もっと何か不思議な感覚で僕は、あの機械を知っている気がするんだ?
そう、たぶん・・知ってる。
それは・・懐かしさだ。
明日、仕事帰りに絶対高松屋の古銭屋によって200年前の100円硬貨を買うんだ。
それから・・その100円玉で、あの自販機のコカ・コーラを買う。
でも、もし本物が出てきたらどうする?
飲むのか?
ちょっと怖いな。でも・・
あの、ひしひしと心に響く、不思議な違和感の正体を確かめる
ガラガラガラ・・
「おにいちゃん、入るね」
初音と母さんが、入ってきた。
「あ、うん。」
考え事をしながら空返事を返した俺のすぐ横の湯船に気持ち良さそうに浸かった二人は、何かコソコソ話しながら、こう切り出してきた。
「あのね、章夫。」
「母さん、今度二十歳になろうと思うんだけど・・どうかな?」
な、なんと!
「でね、おにいちゃん。うち、16歳になるの、いいでしょ」
「ね、いいでしょ。お兄ちゃん。」
ななな、
「だ、だ、だ、だめだよ。初音のJKは、ちょっと見たいけど・・」
「母さんの、二十歳は、ちょっと嫌だよ・・」
「もう、本当に章夫は、ロリコンなんだからっ」
「か、母さん!ロリコンって死語なっ」
ああ、言い忘れていたけど、2221年の地球は、既に第四世界を達成している。
僕も初音も見た目JKの母さんが育ててくれたんだけれど・・
この時代の出産は、中央の人工知能(GOD)が管理していて、試験管から個別に生まれてくる僕たちには、遺伝子的な血縁関係とかも一切無い。
年齢と言う概念も薄くなった。
だから、初音や母さんとも、たまーにエッチ・・い、いや、けっこう頻繁に、家族で、えっちい事もしちゃうんだけれど・・
この、時代では、至極当然な営み。
第三世界で言うと、愛おしい息子や娘をぎゅっとハグするような感じかな?
愛情表現が、ちょっとだけ自由になっただけの普通の事なんだ。
「だ、だったら母さんは、もう大人の体になっちゃいけないの・・」
泣きそうに、なりながらも訴える母さん。そこまで、本気なら止める理由は、皆無。
これで、もしダメって言ったら、それはもう、僕の個人的指向だけのエゴって事になってしまう。
「わ、わかったよ。いいよ」
「じゃあ、明日のPM3時に、高松屋のいつものカフェで待ち合わせ・・そんでもって、みんなでテルメア操作(肉体年齢操作)のシミュレーションしてみようよ」
「いいの・・二十歳・・で・・も・・」
「う、うん。とにかく、どんな感じか映像で見てみようよ。」
「やったあ!おかあさん、よかったねー。あたしもJK初めてだから楽しみだよ。」
14歳の初音が、飛び跳ねてよろこぶ姿を見れるのもこれが最後なのか・・
兄として、少しさびしい気持ちになった。
・・・いや、ロリコンとしてか?
「あ、言っとくけど僕は、このまま二十歳の物理ボディーを変える気は無いからね」
一応、組織的な仕事に参加してる僕は、この二人より少しだけお固いようだ。
「じゃあ、この体も、もう最後だから・・」
「ロリコンお兄ちゃんの為に、JCのあたしと、JKのおかあさんが、二人でがんばって気持ち良くしてあげるから、今晩覚悟しておきなさいよね!」
「・・・・・・・・・・」
「なんか、言いなさいよ」
「・・・・よ、よ」
「よろしくお願いします。」
天守閣の大浴場から
眺める大阪の夜景が、いつもより艶っぽく見えた。
つづく
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