第14話 防犯カメラ

 注意書きでの説明はまったく効果なし。

 すぐさま、私は防犯カメラを購入しました。


 モーションカメラと、ダミー。

 ダミーはこれみよがしに設置。


 録画できるモーションカメラは一目ではわからないところに仕掛けましたが……。


 とにかく角度が難しい。

 仕掛けた当初は、コギの世話をしている私しか映っておらず、自分が『知らないうちにコギに毒餌をやるサイコパス野郎』になってしまったんじゃないか、とうすら寒ささえ覚えましたが……。


 微調整していくうちに、ちゃんと撮影できるようになりました。


 ですが不審者はいません。

 映っているのはご近所さんばかりです。


 このときはまだ角度が甘く、何度も調整を繰り返していた時期でした。


 カメラを仕掛けたあとも、金曜日から日曜日にかけてはコギを庭に放さないようにしており、家の外に貼った注意書きも『防犯カメラ作動中!!!!!』に変更していました。


 これで餌やりをあきらめてくれれば。

 そう考えていた矢先のことでした。


 土曜日でしたが、私が庭仕事や洗濯もので外に出ていたこともあり、コギも庭に出していました。


 作業中、用品が足らず近所のホームセンターに行かねばならなくなりました。ちらっと『コギを屋内に入れておこうかな』とも思ったのですが、店まで徒歩数分です。


 すぐ行って帰ってくればいい。

 私は急いでホームセンターに行き、買い物を終えて帰宅しました。


 庭にいるコギを呼び戻し、家にいれようと思ったら。


 人工芝一面に吐しゃ物があります。

 ものすごい量でした。


 最初なにがなんだかわからなかったのですが。

 気づきます。


 今までやれなかった分のドッグフードを、そいつは一気にコギに与えたのです。


 急いでコギの様子を確認しました。


「吐いちゃった……」

 そんな感じで上目遣いに私を見ます。具合は悪そうですが、酷い状態ではありません。


 迷ったものの、その日は動物病院に行かずに済ませることにしました。


 その後。

 コギは1週間、ほぼ餌を食べられない状態になりました。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る