第10話 コギとの出会い

 先代のワンコを亡くしてから、自分の精神状態のためにも、もう一度ワンコを迎えよう、とおもいました。


 できるなら、譲渡犬を、とおもったのですが……。


 先代ワンコが、結局前の飼い主を忘れられないタイプだったので……。

 また、同じようなワンコだったら、私が耐えられない、とおもい、ペットショップを回って子犬を、と考えてみたのですが、ワンコを見るだけで泣きだす始末。


 やっぱり、落ち着いてから、とおもっていたら、知り合いが、隣市に良いブリーダーがいるから、行ってみろ、と声をかけてくれました。


 そこのブリーダーさんが扱っているのが、コーギーでした。


 早速予約をし、お邪魔をすると、まず面接が始まりました。

 私は他のブリーダーさんを知らないので、この方が特殊なのかどうかわかりませんが。

「なぜ、犬を飼おうとおもったのですか」と、なんか、こう、……。すごい聞かれるんです(笑)。


 で、先代犬を亡くした経緯を話し、譲渡犬は多分無理だろう、と説明しながら、なんとなく、ブリーダーさんに言いました。


「あのワンコだって、本当の飼い主のところで最期を迎えたかったろうに。可哀そうなことをしました」


「あのね、青嵐さん」

 ブリーダーさんが、とっても不思議そうな顔をしておっしゃいます。


「散歩で外に出て、縄張りを見て。おしっこやうんちをして、すっきりして。ご飯を食べてお腹も満たされて。それで、亡くなったんですよ。生物として、ものすごく穏やかな死ではないですか」


 もう、この言葉に、救われました。

 あとは、ひたすらずっと泣いていて。


 そこで、引き合わされたのが、今、家にいるコギです。


 まだ生後数カ月だったので、感染症予防のため、さわれませんでしたが、小さなゲージの向こうで、青と黒茶の瞳で私を見る顔が、愛らしくて。


「バイアイなので、潜在的な病気のリスクは高いこと」「繁殖には使えないこと」などを説明されました。

(※ただし、譲渡の段階でブリーダーさんが獣医師に健康診断を行っており、心臓疾患はないことは確認済み)


「バイアイ同士をかけあわせて、ブルーアイの犬を作るブリーダーもいるし……。いわゆる遺伝病だから、こちらも売り手を選ぶしね……。青嵐さん。この子、どう?」


 そう言われて、迷わずうちの子として迎えることになりました。


 そうして、やって来たコギは。

 先代犬とは全く性格の違う甘えん坊で。


 当初は、「灰色」の毛をしていました。


「……。これが、本当に、あの写真のようなコーギーになるんだろうか」

 不思議で仕方なかったのですが、成長するにつれ、コーギーらしいスタイルに。


 今では、上からみたら、焼きたてのコッペパンです。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る