第5話 ぼくにかまわないなら、こうだ!!

 現在、仕事の関係で、竹炭を作っています。


 で、先日の話。

 作った竹炭を持ち帰り、庭(というか犬走り?)で整理していました。


 しゃがみこみ、蛇口からの流水で、竹炭をじゃぶじゃぶと洗います。

 もれなく、やって来るコギ。


「それなに。ぼく手伝えるよ。どうする? それとも、ぼくと遊ぶ?」


 つきまとい、鼻を突き出し、私の腕と胴の間に顔を突っ込んで『かまえアピール』をするのですが、こちらも、とにかく竹炭を洗って磨き、干さねばなりません。背中に覆い被さってくるので、「ええい」と振り払います。


「もう、邪魔!」

 と叱りつけると、耳を伏せ、すごすごとどこかに行ってしまいました。


 ほっとして、人工芝部分にビニールシートを広げ、綺麗になった竹炭を広げました。

 あとは、日光に干し、重さを量って袋詰めをしよう。

 そう思ったときです。


 どどどどどどどっ、という重低音が響いてきました。

 はっ、と見遣ると。

 コギが、低い体勢で頭を下げ、疾走しながら接近してくるではありませんか。


 あ、と叫ぶまもなく。 

 コギは、ザザザザザ―――――っと、ビニールシートの上に滑り込みました。


「ぎゃああああああっ」


 叫ぶ私の前で、飛び散る竹炭。

 くしゃくしゃになるビニールシート。


 そんなこと気にもせず、へそ天になり、へへへへへ、と舌をだらりと垂らして嗤うコギ。


 巻き散らかされた竹炭。折角洗ったのに、犬の毛が混じっています。


「この、馬鹿犬が――――っ」


 怒鳴り散らし、コギを追うものの、なかなか、捕まえられず……。延々と続く鬼ごっこ。

 最終的に、低い声で呼び戻し、捕まえ、隔離。


 再度、竹炭を洗う羽目となりましたとさ……。


 本犬は、遊んでもらったとおもって、とりあえず満足のようです。

 ……ずるがしこいやつめ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る