第4話 洋犬

 私が小さな頃から家にはワンコがいたのですが。


 和犬か、雑種(今はミックスというのですかね)ばかりでした。

 ほとんどが、「子犬が生まれたんだけどいらない?」というきっかけで飼っていました。


 だから、ブリーダーさんから購入したのは、コギが初めてです。

 ちなみに、洋犬というのも初めてでした。

 当初、和犬より人懐っこく、裏表のない性格に驚いたものです。

(和犬って、どこかツンデレ系が多くないですか?)


 ほかにも、それまでの犬とは違うなぁ、と思うことの一つに、鼻の長さがあります。


 なんか、ものっすごい長いんです。すー、っと鼻筋が通っていて、明らかに異国の顔つきです。


 本犬も鼻の長さをもてあますのか……。


 室内でのこと。

 私がコギの名前を呼び、振り返ったりすると。

 ローテーブルやソファの脚に鼻をぶつけ、「うぐっ」という顔をします。

 結構、これ、やらかします。


 もうひとつ、今までのワンコと違うなぁ、と思うことのひとつが。

 このコギ。非常に頭が良い。


 覚えている単語なんて、本当にどれぐらいあるんだろう、と思うほど。

 幼児と同じぐらいじゃないかなぁ。

 室内飼いと屋外で飼う犬とでは、覚える単語の数が違うと聞きますが……。

 それでも、相当賢い。


 最近では、散歩の途中で知人に会い、立ち話をしていると、「うろろろろろろぉ」と、なんとも言えない鳴き声をたてます。

「早くかえろうよ」と言っているのか、「ええ、ほんとうに。ぼくもそうおもいますよ」と会話に混ざっているのか。

 苦笑して、「それじゃあまた」と知人とは会話を切り上げ、帰宅しています。


 それと……。表情が豊かです。

 特に、コーギーは表情筋が発達していると言われますが……。

 いや、ほんと。人間のようです。


 私がキッチンで料理をしていると、後ろ足で立ち上がってのぞき込み、「何作ってんの?」という顔でみています。

 コギは足こそ短いですが、胴が長いので、こういう姿勢を取ると、本当に幼児ぐらいの背の高さ。


「それ、ぼく、食べられる?」

「食べられないよ」

「なんだー。それ、なにしてるの?」

「今から炒めるんだよ」

「へー」


 食事のたびに、そんなかんじで。

 

 ……いつか日本語をしゃべり出すんじゃないか、とちょっと怖い……。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る