第3話 リードは、飼い主と愛犬をつなぐ絆

 コギは、手足が短いですが、立派な中型犬です。

 なので、運動の時間はしっかりと確保してあげないとなぁ、と思っています。


 そんなうちのコギは、散歩が大好き。


 リードを引っ張ることもなく、私の横を短い足で、てとてと歩きます。

 ときどき私を見上げ、「楽しいねぇ」とばかりに目を細めます。


 よだれが出そうなほど、可愛いです。

 今までの犬は、匂いを嗅いだりマーキングに必死で、なんかこんな風に視線を合わせて散歩を楽しむ犬は初めてです。


 ある日。

 コギのうんちを始末していたときのこと。


 手からリードが外れていました。


 あ、と気づいた時には、コギは、くんくんと地面の匂いを嗅ぎながら、とことこと歩き出していて、私との距離は広がっていました。


 基本的にうちは田舎なので、散歩コースは車が頻繁に通るところでは無いのですが、「来ない」とは言い切れません。

 もちろん、人だって来ないとはいえません。

 怯えたコギが、人に襲いかかる危険性もあります。

 慌てて呼び戻そうと、私はコギの名前を呼びました。


「んー?」

 とばかりに、足を止めて振り返ったコギ。


 私との距離をみて、目をまん丸にします。

 咄嗟に、「脱走するかな?」と焦りました。

 名前など呼ばず、そっと近づき、リードを掴めば良かったと後悔したのですが。


 コギは、一心不乱に私の側に駆け戻ると、後ろ足で立ち上がり、前足でパカパカと叩きます。


 なんか、その様子が。

「ばかばかばかーっ! なんで、リードを離したんだよっ」

 と、言っているようで……。


 例えそれが、「もともと牧羊犬だから、群れから離れた個体をみつけたら、本能的に追う」のだとしても。


 もう、超可愛い……。


「ごめん、ごめん。はい、散歩続行」

 声かけをして、頭を撫でて。

 一緒にお家に帰りました。


 リードは、愛犬の安全を守る大切な道具です。離さず、しっかりと持っていよう、と思いました。

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