🎃カボチャ男は喋らない🎃
日が落ちるとウチには訪問者がやって来る。
「……なんか音したか?」
玄関が鳴ったような気がする?
「気のせいか?」
……なんかバタバタ言ってる???
「誰か来たのか?」
僕はハロウィンのニュースが流れるテレビを消し、一応マスクを手にして自室から階段を降り玄関へと向かう、何せ日が落ちた後だ客が人間じゃ無い事が多いが念のためそうする。
「なんだお前か」
マスクは必要無さそうだ。
そこには牧師が着るような地味目な僧服を着たオレンジ色のカボチャ頭の男が立っていた、身長は僕より少し高く、いかにも木偶の坊って感じの風体だ。
「まさかとは思うがハロウィンパーティーへのお誘いか?」
カボチャ男はそのハロウィンに最も相応しいであろうカボチャをくり貫いた頭を縦にコクコクと振って見せた。
「知ってるか?今年は新型のウイルスが流行ってるせいでお祭りは自粛だ」
カボチャ男はボーゼンと立ち尽くしこの世の終わりのような顔をする。
「知らんかったのか?」
カボチャ男はチラリと後ろを振り返る。
「カボチャの馬車?正気か??」
どうやらこのカボチャ男、今年はかなり気合いを入れたらしい。
「何人くらい来るんだ?」
僕は眉を潜めながらも少人数なら可能かもと聞いてみる。
「13人?僕とお前さんを入れてか?どんだけハッピーな数だよ!」
カボチャ男は僕の反応に手応えを感じたのかココがチャンスとばかり必死に身振り手振りで伝えて来る。
「人間は?」
「僕だけ?」
「は?、御主人?、いや魔女は人間に入れてやれよ」
「不死だから、もう、人間じゃ、無い?」
「まあ……そうなのか?」
「他のメンツは?」
「血吸い鬼?」
「この前会ったぞ元気だったか?」
「貧血気味?」
「遠慮せずウチに来いよ……」
「で?他は?……ミイラにゾンビにスケルトンって死なん奴ばっかだな!」
「うーん………」
僕は少し考えてこう答えた。
「仮装しなきゃダメか?」
カボチャ男は話が通りそうな事に喜び、大きな身振りで僕に伝える。
「何々?人間は珍しいからそのままで良い」
つまり人間のコスプレって事だな。
「あっそれでお前さん聖職者、坊さんコスプレしてんのか」
カボチャ男は嬉しそうにうなづいた。
「ちょっと待ってろ、コート取ってくる♪」
僕は他のメンツがどんなコスプレしてんのか楽しみに成っていた。
日が落ちるとウチには訪問者がやって来る、今日は楽しいパーティーのお誘いだった。
🎃追記🎃
魔女は白衣の女医で血吸い鬼は注射器を持ったナースコスだった、魔女の奴に無理やり着せられたらしい(笑)。
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