第42話 万起

登山という名の学校の行事を終え、戌走が家に帰ると、玄関で彼女の姉がたまたまそこに座っていた。

大学生である姉も帰ったばかりのようであった。


「あ、お帰り。ひなちゃん。登山だったっけ?楽しかった?」


戌走の姉の万起(まき)はそう言いながら、脱ぎかけていたブーツを完全に脱いだ。

そして、結んでいた黒髪をふさっと解いた。

妹である陽菜はそんな姉の行動を見ながら。


「うん!すごい楽しかったよ!


と戌走陽菜は言った。

そんな様子の陽菜を見ながら、姉の万起はニコッと笑った。


「それは良かった良かった」


「お土産買ってきたけど、いる?」


「おおー、流石我が妹。気が利くね」


万起はそう言うと、姉妹揃ってリビングに入っていった。

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