第41話 車内

お土産も買い終わり、伏野達は帰りのバスに乗り込んでいた。

時刻はもう16時。

本来の予定より遅い時間だった。

そのため帰りのバスは早く乗るために、流れでほぼ自由に座ることができ、伏野と戌走は隣になった。


「欲しいお土産は買えたか?」


と、伏野は隣に座る戌走に問いかけた。

しかし、戌走はうなづくだけで声を出さなかった。


「もしかして、お前。まだ道に迷ったこと気にしてんのか?」


「……うん。だって、私が迷ったせいで班のみんなはちゃんと昼ごはんも食べられなかったし、天音ちゃんにだって心配をかけたから」


「そうか。でも、俺はお前のせいで迷ったなんか思ってねーよ」


「え?」


伏野の言葉に、戌走は顔を上げた。

そして、伏野は話を続けた。


「荒井と話している時にも言ったろ。お前は自分のせいで遅れたって勘違いしているって。お前だけのせいなんかじゃねーよ」


「伏野………」


「それに俺とお前は中学からの仲だろ。そんな程度で怒ったりしないつーの。そもそもお前が方向音痴ってのは知ってたしな」


伏野は窓の外を見ながら言った。

そして、そんな伏野に戌走は両手で彼の腕を掴みながら。


「………ありがと、伏野」


と言った。

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