第39話 土産
「お土産だー」
戌走は普通に話すような声でそう言った。
伏野達のクラスはお土産屋に来ていた。
といっても、昼食をとった場所の一階にある場所なのだが。
「かなりたくさんあるみたいだな」
「うん」
伏野と戌走はあたりを見渡しながら言った。
このお土産屋ではクラスも班も関係なく動いていいと、教師から言われていた。
そのため。
「ふ、伏野くん、戌走さん!」
と、そう言って伏野達の近くにやってきた違うクラスの荒井と合流することになっていた。
「天音ちゃん!日曜日に会ったのに、なんか久しぶりに会った気がする!」
「う、うん。私もそんな感じするかも」
「だよね!とりあえず、三人で一緒に回ろ!!」
戌走はそう言うと、伏野と戌走と荒井の三人は一緒にお土産屋の中を歩きはじめた。
少し歩いた後、荒井が話を切り出してきた。
「そ、そういえば。戌走さん達、大丈夫だった?な、なんかさっきの登山で、迷ったって先生が噂してたけど……」
と、荒井はそう言いながら、戌走達の顔をチラリと伺うと、戌走が沈んだ顔をしているのが目に入った。
え?、と荒井が戸惑っていると、伏野が戌走の頭をポンポンと叩きながら。
「戌走は自分のせいで遅れたって勘違いして、割と気持ちが沈んでいるからあまりその話に触れてやるのはやめてやってくれ」
「あ、ご、ごめんなさい!私、そんなの気が付かなくて!」
「良いって良いって、こいつもこんなことで落ち込んでいるけど、あまり気にすることじゃねーから」
と、伏野は言うと、荒井はうなづいた。
そして、五分後。戌走は元に戻り、三人はいつも通りの雰囲気でお土産選びを楽しんだ。
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