第37話 上下

「それでは、各班に分かれてこの登山を楽しむように。以上、解散」


担任の坂本の注意事項がクラスメイト達に伝えられた後、それぞれの班に分かれて散策を始めた。

それにつられるように伏野達の班も動き始めた。


「自由なルートで上にある丘を目指せってルールだけど、俺らはどう行く?」


伏野は出発前に配られた山のマップを見ながら言った。

その山のマップにはもはや迷路みたいにルートが描かれており、ぱっと見で何十通りくらいあった。

戌走はひょっこりと伏野の横から顔を出し、マップに指をさした。


「私はこの一番真ん中のルートがいいと思う!」


「戌走。とりあえず理由を聞いていいか?」


「直感!!」


と、あはは、と笑いながら戌走は言った。

彼女の感は全く当てにはならないと、伏野は思っていたが、こんな無数のルートの中から選べと言われてもわからない。


「俺はこれでいいと思うが、次石と根無はどうだ?」


伏野は一応、他の二人にも問いかけることにした。


「別に構わないよ〜俺は」


「私もそれでいいよ」


次石と根無の了承も得られたので、戌走は伏野から山のマップを受け取り、そのマップを天高く掲げ。


「それじゃ、出発!」


と、戌走はテンション高く叫んだ。


*********


十分後


「行き止まりだ……」


と、戌走はテンション低く呟いた。

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