第35話 更新

「では、次はD組の伏野くん、お願いします」


学年主任の声で呼ばれ、伏野は歩き始めた。

さっきまで割と恥ずかしい思いにあった日のことを思い出していたため、大勢の前で緊張を感じることはなかった。


「一年D組、学級委員代理の伏野です。では、意気込みを言わせていただきます」


伏野は大勢の前でそう言うと、足を大きく開き仁王立ちをした。

そして、大きく叫んだ。


「緊ッ!!褌ッ!!一ッ!!番ッ!!」


誰もが聞こえるような声で。

これは次石が考えた四字熟語であったのだが、伏野がこれを初めて教えてもらった時、なんとも言えない表情をしてしまった。

そして、今、伏野の前に立っている大勢の生徒達も同じ顔をしていた。


「以上です!」


伏野は最後にそう叫び、大勢の生徒の前から去っていった。

生徒達の目線が伏野を追跡しているようにも感じられた。

そして、伏野は思う。


(恥ずかしい記憶が更新されやがった)

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